2 概論

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2.1 PPP とは何でしょう?

PPP すなわち Point-to-Point Protocol はインターネットの「公式」プロト コルです。PPP は、シリアル接続を使って IP フレーム(と、その他)を交換す るためのプロトコルです。PPP に関する最新の RFC は 1661 で、その他、多 数の関連する RFC が存在します。

ある種の人々の想像に反して、PPP は、"Peer to Peer Processing" の略では ありません。もっとも、PPP 上に張られる TCP/IP のリンクはピア・ツー・ピ ア(一対一)の通信になっていますが。

2.2 私の大学(会社)は PPP の設定がされていません。PPP は使えるでしょうか?

一般論的に言うと、ダメです。「古典的な」 PPP のインプリメントでは、PPP を使うためには OS がサポートしている通信経路(routes)と利用しているネッ トワークデバイスを変更する必要がありました。つまり、リモートのコンピュー タのカーネルを PPP を使うために再構築する必要がある、ということです。

これは一般ユーザーの仕事ではありません。もし、あなたの組織の管理者に PPP が「有益だ」と信じさせることができれば、使えるようになる可能性があ るでしょうが、もし出来なければ、多分 PPP を使うことはできません。

しかし、"TIA"(The Internet Adapter) packeges を扱っている人たちにサポー トされているシステムを使っているなら、希望はあります。私自身は、このパッ ケージについてあまりよく知らないのですが、私の知るところによると、「次 のバージョン」で PPP をサポートする予定になっているそうです(私の情報は 古くなっているかも知れません。直接、彼らに聞いてみてください。TIA に関 する情報は ftp.marketplace.com/pub/tia ディレク トリにあります)。

もし使っているシステムが TIA にサポートされておらず、管理者たちに PPP の有効性を信じさせることも出来ない場合、`term' を使う必要があ ります。いくつかのサービスプロバイダは `term' を動かすことを 拒否しています。それには多くの理由がありますが、最大のものは `セキュリ ティ上の問題'です。

Linux も TIA の移植もリストには上っています。

2.3 PPP はどこにあるの?

PPP は 2 つの部分に分れています。最初の部分はカーネル内にあります。 1.1.13 以上のカーネルでは、PPP のドライバはネットワークシステムのドラ イバの中に組みこまれています。

kernel に入っているドライバを pppd パッケージに入っているドライバと入 れかえてはいけません !!!

残りの半分は `デーモン' プロセスである pppd です。PPP を使う には、このプロセスが必要になります。pppd のソースは sunsite.unc.edu/pub/Linux/system/Networking/serial ディレクトリにある ppp-2.1.2b.tar.gz に入っています。

1.1.13 以前のカーネルでは、必要なドライバは pppd のコードの中に含まれ ていました。

2.4 PPP を入手しました。次はどうすればいいんでしょう?

「マニュアルを読みなさい」

まず README ファイルを読み、次に README.linux ファイ ルを読みましょう。その他、関係するドキュメントは後述します。

2.5 PPP に関するその他の情報はどこにありますか?(ドキュメント、HOWTO などなど)

Linux にインプリメントされた PPP についてはさまざまな情報が存在します。

HOWTO ファイルは Linux HOWTO のいつもの場所におかれています。現在は、 sunsite.unc.edu/pub/Linux/docs/HOWTO ディレクト リです。

Network Administration Guide は sunsite の docs/linux-doc-project/nag ディレクトリにあります。これは O'Rielly and Associates から出版されていますので、もし専門的なドキュメ ントが必要ならば、手近の本屋で買うのがいいでしょう。

`man' ページはソースパッケージに附属しています。man コマンドが見つけられるように、一般の man ページがあるディレクトリ /usr/man/man8 に移動させましょう。あるいは、nroffmore を使って直接見ることも可能です。

[訳注:Linux では groff と less を使います。具体的には groff -man -Tascii pppd.man | less とすれば整形されたマニュ アルが読めます]

PPP faq は PPP プロトコル自身とその様々なインプリメントについて書いて あります。この文書は usenet の comp.protocols.ppp に投稿され、 rtfm.mit.edu/usenet ディレクトリにアーカイブさ れています。現時点では 8 つのパートからに分れています。

2.6 PPP についての質問はどこに投稿するべきでしょう?

usenet において、PPP のインプリメントについて議論する第一の場は comp.protocols.ppp です。"pppd の使い方は?" とか "なぜ動かな いの?" といった一般的な質問はこのグループにしてください。

"何故 pppd がコンパイルできないのでしょう?"といった類いの質問は、おそ らく linux に関係した問題なので comp.os.linux.networking グループに投 稿するのがいいでしょう。

この質問に comp.os.linux.help は使わないでください。

[訳注:NetNews の改組により comp.os.linux.help は無くなり、 comp.os.linux.setup, comp.os.linux.misc 等になりました]

2.7 PPP が動きません。助けて!!

これはもっとも無意味な質問です。助けを求めていのだとは思いますが、これ以外の情報無しに 投稿するのは何の役にも立ちません。 こんな質問は私を含め、ほとんどの人が黙殺するだけでしょう。

「モデムがうまく接続されないエラー」に関する質問の項を読んでください。 それらはトラブルの原因ではなく、症状にしか過ぎません。これらのエラーメッ セージのみを付けて投稿するのも同様に無意味です。

質問の際に必要なものは、pppd を `debug' オプション付 きで動かした時のシステムログ(syslog)の出力です。加えて chat を使ってい るならば、chat に `-v' オプションを付けて、冗長なメッセージが 出力されるようにしてみてください。

カーネルの起動時のメッセージも合せて送ってください。これを見ると、UART のタイプや PPP のバージョンなど、カーネルのハードウェアに関するさまざ まな情報がわかります。

質問の際には、問題に関係すると思われる全ての情報を含めてください。といっ ても、ハードディスクの設定やターミナルの種類、マウスの接続法やボタンの 状況などなど、は不要です。重要なものは、あなたが接続しようとしている先 のシステム、すなわち彼らが使っている ppp (あるいはターミナルサーバー) の種類、モデムの種類とスピード等、です。

注意深く出力を眺めてください。使っている電話番号やあなたのアカウント名、 パスワードは削除してください。それらは問題を分析するためには無用ですし、 それらを usenet に投稿することはセキュリティ上の問題があります。加えて、 カーネルや pppd からのものではない出力も削除しましょう。

決っして pppd を `kdebug 7' オプションで動かした結果 を投稿しないでください!

もし問題がデータのやりとりだ、と確定できれば、その後は相手とメールのや りとりでお願いします。Usenet は既にあまりに多くの人々があまりに多くの ことを発言する場になっています。

情報はさまざまなレベルで出力されます。デバッグ情報はデバッグレベルにあ わせて出力されます。インフォメーション・メッセージは info レベルにあわ せて出力されます。エラーはエラーレベルにあわせて出力されます。 pppd プロセスの `local2' というグループが出力するメッ セージは全て含まれるようにレベルを設定してください。

訳注:以下は PPP-Readme.linux よりの引用です。

もし接続でいないようなら、pppd からの 'debug' 情報をチェックしてくださ い。このためには pppd を 'debug' オプション付きで起動して、 /etc/syslog.conf ファイルに local2.* /dev/console local2.* /usr/adm/ppplog と書いておく必要があります。

もう一点、タイムスタンプは削除しないように。この情報は重要です。

2.8 PPP サーバーのそれぞれの回線ごとに同じローカルな IP アドレスを使えますか?

はい、可能です。ローカルのアドレスはローカルシステムにとって重要なもの ではありません。必要なのはユニークな remote の IP アドレスで す。経路制御はリモートの IP アドレスにしたがい、ローカルの IP アドレス は関係ありません。

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