ATI ボードの README Marc Aurele La France著 岡本 一幸 Kazuyuki Okamoto 訳 1995 年 5 月 8 日 本書は XF86_Mono, XF86_VGA16 と XF86_SVGA サーバーで使用している XFree86 ATI VGA ドライバに関する README です。 Mach8, Mach32 若くは Mach64 アクセラレータが搭載されている ATI グラフィックボードの使用者は アクセラレータサーバー (XF86_Mach8,XF86_Mach32若くは XF86_Mach64) を使 用するべきです。非アクセラレータサーバー (XF86_Mono, XF86_VGA16 と XF86_SVGA) も稼働しますが、その能力を生かし切れません。 1. ATI VGA ドライバとは何か ? ATI VGA ドライバは XFree86 用の 256 色, 16 色と白黒のドライバです。こ のドライバは SuperVGA として働かないもの(いくつかの初期の Mach8 と Mach32) を除いた全ての ATI ビデオアダプタをサポートします。次のおおよ その (x/y = (1 + sqrt(5))/2 なる黄金分割比を基にした) 最大解像度はボー ドに搭載している使用可能なビデオメモリ(とモニターの能力)に依存しま す。: 256k 640x409x256 896x585x16 512k 896x585x256 1280x819x16 1M 1280x819x256 1824x1149x16 また、より高い解像度は 1M 以上のビデオメモリを搭載した(Mach64ではな く)Mach32 で表示可能です。 白黒サーバーは使用可能なビデオメモリの最大の 1/4 を使用するので、白黒 での最大解像度は 16 色モードと同じなのです。 2. ATI VGA Wonder ドライバ では *出来ない事* は何か? このドライバはピクセルあたり 8 ビット以上の深さを未だサポートしてませ ん。お手元のマニュアルにグラフィックアダプタが 256 色以上のモードをサ ポートしていると記載があっても、ATI VGA Wonder ドライバが 256 色以上の モードを使っていないのです。 ATI VGA ドライバはアクセラレータドライバではありません。お手元のボード が Mach8, Mach32 または Mach64 ビデオコントローラを搭載している場合、 ドライバはグラフィックボードのアクセラレータ機能を使用しません。 (Mach32 用と Mach64 用のアクセラレータに統合されている) ドライバは VGA ボードだけを使用します。この例は分かりにくいですが、何とか動作します。 3.どのようなビデオアダプタでドライバが動作するか? 以下の ATI ビデオコントローラチップを搭載しているほとんどのボードでこ のドライバは動作します。 VGA Wonder シリーズ: 18800, 18800-1, 28800-2, 28800-4, 28800-5, 28800-6 Mach32 シリーズ: 68800-3, 68800-6, 68800AX, 68800LX Mach64 シリーズ: 88800CX, 88800GX いくつかの初期型の Mach32 ボードがこのドライバで動作しないのは、VGA 機 能を持っていないからです。また同様の理由で、 VGA Wonder シリーズからビ デオコントローラを搭載しているボード(または VGA パススルーコネクタか ら接続する場合)を除いて初期型の Mach8 ボードも動作しません。 これらのボードでは様々なクロックジェネレータと RAMDAC が使用可能です。 詳細は XF86Config の節をご覧ください。これらのボードはマウスがあっても なくても使用可能です。(ISA ボードの場合だけですが)マウスが必要な場 合、十分使える ATIXL バスマウスか、 Logitech バスマウスプロトコルを使 用しているマウスかどちらかを使ってください。 VGA Wonder V3 ボードは 18800 ビデオコントローラを搭載し、水晶発振子に よってドットクロックを生成しています。 VGA Wonder V4 ボードは 18800-1 と水晶発振子を搭載しています。 VGA Wonder V5 ボードもまた 18800-1 を搭 載していますが、18810 クロックジェネレータを搭載しています。 VGA Wonder+ ボードは 28800-2 と 18810 を搭載しています。その他の ATI のボ ードの名称の決め方の慣習(昔からあったもの)では名前の一部分を省略して います。 VGA Wonder シリーズはまた、ATI の OEM 先から VGA1024 という名称で発売 しています。従って、ATI VGA ドライバは VGA1024, VGA1024D, VGA1024XL, VGA1024DXL と VGA1024VLB ボードやその類をサポートしています。 4. XF86Config ファイルに何を書いたら良いでしょう? チップセットが構成を自動検出するでしょう。このドライバでのチップセット の名称は "vgawonder" です。これを "ati" だとか "mach64" と指定した場 合、XF86Config にどんなクロックを指定しても無視します(この時、探査した クロックを使用する事になります)。以前のバージョンのドライバでサポート していたクロックの値がこのバージョンでは当てはまらないことがありますの でこの方法で確認してください。 XF86Config に指定する clocks 行はボードが生成するドットクロックに依存 したものになります。 全てのボードで、以下の内の一つのクロック(またはそれらの最初の部分)の 設定はボードが生成するドットクロックに依存したものになります。: 水晶発振子 (VGA Wonder V3 と V4 ボード のみ): Clocks 50.175 56.644 0.000 44.900 44.900 50.175 0.000 36.000 25.088 28.322 0.000 22.450 22.450 25.088 0.000 18.000 16.725 18.881 0.000 14.967 14.967 16.725 0.000 12.000 12.544 14.161 0.000 11.225 11.225 12.544 0.000 9.000 ATI 18810 クロックジェネレータ: Clocks 30.240 32.000 37.500 39.000 42.954 48.771 0.000 36.000 40.000 56.644 75.000 65.000 50.350 56.640 0.000 44.900 15.120 16.000 18.750 19.500 21.477 24.386 0.000 18.000 20.000 28.322 37.500 32.500 25.175 28.320 0.000 22.450 10.080 10.667 12.500 13.000 14.318 16.257 0.000 12.000 13.333 18.881 25.000 21.667 16.783 18.880 0.000 14.967 7.560 8.000 9.375 9.750 10.739 12.193 0.000 9.000 10.000 14.161 18.750 16.250 12.586 14.160 0.000 11.225 ATI 18811-0 と ATI 18812-0 クロックジェネレータ: Clocks 30.240 32.000 110.000 80.000 42.954 48.771 92.400 36.000 39.910 44.900 75.000 65.000 50.350 56.640 0.000 44.900 15.120 16.000 55.000 40.000 21.477 24.386 46.200 18.000 19.955 22.450 37.500 32.500 25.175 28.320 0.000 22.450 10.080 10.667 36.667 26.667 14.318 16.257 30.800 12.000 13.303 14.967 25.000 21.667 16.783 18.880 0.000 14.967 7.560 8.000 27.500 20.000 10.739 12.193 23.100 9.000 9.978 11.225 18.750 16.250 12.588 14.160 0.000 11.225 ATI 18811-1 と ATI 18811-2 クロックジェネレータ: Clocks 135.000 32.000 110.000 80.000 100.000 126.000 92.400 36.000 39.910 44.900 75.000 65.000 50.350 56.640 0.000 44.900 67.500 16.000 55.000 40.000 50.000 63.000 46.200 18.000 19.955 22.450 37.500 32.500 25.175 28.320 0.000 22.450 45.000 10.667 36.667 26.667 33.333 42.000 30.800 12.000 13.303 14.967 25.000 21.667 16.783 18.880 0.000 14.967 33.750 8.000 27.500 20.000 25.000 31.500 23.100 9.000 9.978 11.225 18.750 16.250 12.588 14.160 0.000 11.225 Mach32 と Mach64 を持っている人は最初の 32 個の周波数だけを指定してく ださい。 また、Mach64 ボードの場合に新しい ATI 18818 クロックジェネレータチップ を搭載している可能性があります。ブート時に、ビデオ BIOS の初期化は 18818 に2つの少々異なるドットクロックの組み合わせを設定します。この動 作をドライバでそっくりまねする方法は未だ見つかっていません。もう少しす れば、次の内の一つのクロックの指定が使用可能になるでしょう。: ATI 18818 クロックジェネレータ (一次 BIOS の設定): Clocks 0.000 110.000 126.000 135.000 50.350 56.644 63.000 72.000 0.000 80.000 75.000 65.000 40.000 44.900 49.500 50.000 0.000 55.000 63.000 67.500 25.175 28.322 31.500 36.000 0.000 40.000 37.500 32.500 20.000 22.450 24.750 25.000 ATI 18818 クロックジェネレータ (二次 BIOS の設定): Clocks 0.000 110.000 126.000 135.000 25.175 28.322 31.500 36.000 0.000 80.000 75.000 65.000 40.000 44.900 49.500 50.000 0.000 55.000 63.000 67.500 12.588 14.161 15.750 18.000 0.000 40.000 37.500 32.500 20.000 22.450 24.750 25.000 ATI ボード(とそのソックリさん全て)に搭載しているその他のクロックジェ ネレータは上記でゼロになっている部分がゼロでない値になる(又はその逆) でしょう。 このクロックの順番は非常に *重要です*。 Mach32 と Mach64 を所有してい る人はクロックの順番がアクセラレータサーバ用に使うクロックの順番とは異 なることに注意してください。 "X -probeonly" コマンドで探査したクロックはそのボードが上記のボードの うちのどれであるかを判定する助けになるでしょう。サーバーが一貫して知ら ないクロックジェネレータであると知らせてくる場合は、標準エラー出力の内 容を電子メールで送付してください。 モードは XFree86 の文書ディレクトリに入っている情報から引き出してきま しょう。 XF86Config の該当するスクリーン (screen) セクションのディスプ レイ (display) サブセクションに "modes" 行を指定しない場合にドライバー は標準値のモードを生成し、使用しようとします。標準モードの調整用数値は 事実上サーバーが起動したモード(通常テキストモード)の値から引き出して きます。 5.他の版からのバージョンアップ バージョン 2.1.1 より以前の XFree86 用か alpha Mach64 用の Xconfig を 持っている場合は、このバージョンでそのファイルを使うには変更する必要が あります。特に、古い XFree86 で使っていた Xconfig から派生した XF86Config を使って、サーバーを -probeonly オプションを付けて実行して ください。この方法でクロックを探査できます。この探査結果を用いて XF86Config の clocks の所を書き換えてください。そして、チップセットの 指定を "vgawonder" と変更しましょう。 すでにモニターが十分使用に耐える程度にドライバが動作してない場合はモー ド定義を変更する必要があります。隣の周波数より低い(又は高い)ドットク ロックを使用している場合は変更の必要はありません。 6.ドライバの履歴は? ドライバの完全な履歴はあまり定かではありません。次の記述は不完全かつ不 正確かもしれません。 Per Lindqvist (pgd@compuram.bbt.se) 氏が最初に ATI VGA Wonder XL ドラ イバを初期型の ATI カード用に X386 1.1a 上に移植したらしいです。この最 初のドライバは Roell 氏によって書かれた ATI では動作しないドライバを実 際に基にしています。そして Doug Evans (dje@cygnus.com) 氏が その他の全 ての ATI カードでドライバが動作するかどうか確認しながら、ATI VGA Wonder XL ドライバを移植しました。 Rik Faith (faith@cs.unc.edu) 氏は Doug Evans 氏の X11R4 用のドライバを 1992 年、夏に手にいれ、X11R5 の一部の X386 にプログラムを移植しまし た。これを XFree86 の一部へ引き継ぎました。 著者 (Marc La France) は Rik 氏の VGA Wander カード用のドライバを引き 継ぎました。 7.種々の注意事項 80MHz 以上のドットクロックは VGA Wonder コントローラがピクセル多重を行 うようにしなければ使うことは出来ません。 8bpp 色以上の深さをサポートするには現状の RAMDAC の使い方を止めなけれ ばいけません。 ATI 18818 クロックジェネレータをサポートするには大掃除が必要です。 バグレポートやコメントなどを Marc Aurele La France, <tsi@ualberta.ca> (mailto:tsi@ualberta.ca)まで電子メールを下 さい。 $XConsortium: ati.sgml,v 1.1 95/01/06 20:29:55 kaleb Exp $ $XFree86: xc/programs/Xserver/hw/xfree86/doc/sgml/ati.sgml,v 3.5 1995/06/25 09:53:45 dawes Exp $ ______________________________________________________________________ このファイルは xc/programs/Xserver/hw/xfree86/doc/sgml/ati.sgml,v 3.5 1995/06/25 09:53:45 を、岡本 一幸 ( Kazuyuki Okamoto (mailto:ikko-@pacific.rim.or.jp) ) が XFree86 3.1.2 を日本でインストールする人向けに和訳したものです。ここが おかしいとか、ここはこうしたほうがいいといったご意見がありましたら、電 子メールでお知らせ下さい。原文の著作権は XFree86 プロジェクト社にあり ます。この和訳の著作権は XFree86 プロジェクト社と岡本 一幸にあります が、この和訳の不具合は私に、電子メールで送って下さい。 $XFree86: xc/programs/Xserver/hw/xfree86/doc/sgml/Japanese/ati.sgml,v 3.6 1995/08/31 12:08:52 dawes Exp $ ______________________________________________________________________ [EOF]