ARTemis version 1.0 (C) 松内 良介 1993 年 6 月 15 日 − このマニュアルの構成 − 第1部 概略編   1章 紹介 ARTemis の特徴の紹介、提供ファイル、動作環境、ARTemis の著作権について   2章 起動方法 コマンドラインからの起動、TownsMENU からの起動   3章 基本操作方法 キーボード使用上の制限、マウスのボタンの役割、スクロ ールの方法、メニューの表示と移動、領域指定 (矩形・ポ リゴン) の方法   4章 メインメニュー メインメニュー上の各表示の説明、各アイコンの説明、ス ポイトについて   5章 終了方法 ARTemis を終了させる方法   6章 ARTemis ご使用上の注意点 メモリ容量が少ないときの問題、ファイルメニューのファ イル名数の制限の問題   7章 ARTemis の背景 ARTemis の背景であるお絵描き法 第2部 リファレンス編   8章 描画コマンド 自由点描、自由曲線、直線、にじみペン、スプレー、矩形 フィル、多角形フィル、閉領域ペイントの各コマンドにつ いて   9章 効果 (エフェクト) コマンド こすりペン、ジャギー除去、ぼかしペン、ぼかし (領域指 定)、輪郭強調、砂ペン、砂 (領域指定)、色彩変換の各コ マンドについて  10章 編集コマンド アンドゥー、画像眺望、各種コピー (通常コピー/拡大縮 小コピー/上下反転コピー/左右反転コピー/回転コピー) の各コマンドについて  11章 ディスクとのやりとり 画像の保存、画像の読み込みについて  12章 各種パラメータの設定 小格子の表示スイッチ、大格子の表示スイッチ、大格子の 格子単位のサイズ、画面の拡大率、COPY 時の演算、透過 COPY 時の境界補正スイッチ、範囲座標限定スイッチ、にじ みやすさ、こすれやすさ、カーソル色、起動時の画面色の それぞれの設定の方法について  13章 ペン先編集 ペン先編集メニューの説明、ペン先パターンの選択、ペン 先パターンの作成、ペン先パターンのセーブ/ロード、描 画濃度の設定について  14章 パターン編集 パターンバッファへのパターンの登録、パターンバッファ の保存/読み込み、パターン編集の各種コマンド、サブメ ニューの活用、データ形式の変換、順表示アニメについて  15章 付録 パターンデータ (バイナリ) の形式、BASIC 形式のスプラ イトデータの利用例 ============================================================================= ■ 1章 紹介 ============================================================================= ARTemis (アルテミス) は、32768 色モード専用グラフィックエディタで、次のような 特徴を備えています。  ・半透明描画、ペン先編集、にじみペン、こすりペンなどによって、32768  色という多くの色を意識する必要がなく、手軽に階調ゆたかな絵を描くこ  とができる  ・自由な大きさの画像が編集できる。編集可能な大きさはメモリ容量による。  メモリが 2M バイトの場合は 320×240 ドットのみ、3M バイトの場合は  512×480 程度、4M バイト以上の場合はより大きな画像の編集が可能  ・編集時の領域指定は矩形・ポリゴンのどちらでも可  ・戸田 浩氏のファジィレガート・アルゴリズムによるジャギー除去機能を搭  載  ・RGB 空間の回転などによる色彩変換が可能  ・画像ロード時に、画面上の画像との合成が可能  ・小格子、大格子、範囲座標限定、 「パターン編集」メニューによって、ス  プライトエディタやパターンエディタとしても活用できる ARTemis の目指すものはいたって単純、 「ラクに、キレイな絵が描きたい」。これだ けです。 FM-TOWNS には、32768 色同時表示という、たいへんな表現力をもつグラフィック機能 が備わっています。しかし、その機能を使ってお絵描きしたいと思った場合、ドット 単位で色を考えていてはとても楽しく絵を描くことなんてできません。かといって、 ドット単位での色を意識せずに 32768 色をうまく活用するのは困難です。FM-TOWNS を使ってお絵描きをするひとは、多かれ少なかれそんな悩みにつきまとわれているの ではないでしょうか。 ARTemis は、そんな悩みについていくらかなりとも解決のきっかけとなるかもしれな いグラフィックエディタです。 「半透明ペン」、「ペン先編集」、「こすりペン」、 「にじみペン」などの機能は、 実際の画材で絵を描くときのようにコンピューターでも絵を描けないか、という手掛 かりをもとに用意した機能です。これにより、 「色をベタベタと置いていく」という 感覚で絵を描くことができます。 また、これはお絵描きとは直接の関係はありませんが、スプライトを作る時にもやは り 「ラクに、キレイに」作れるのが、モノグサな私の理想です。とすれば、別にスプ ライトエディタを作るより、ARTemis をスプライト編集に使えるようにしてしまうの がよいと考え、「パターン編集」、「大格子/小格子」、 「範囲座標限定」機能を用 意しました。 さて、はたして 「ラクに、キレイな絵の描ける」エディタという目的にかなったもの になったのでしょうか? もともと他の人に使ってもらうことを意識して作っていたわ けではないのですが、このたびこうして ARTemis は世に出ることになりました。完全 に私個人のお絵描きの方法に沿ったエディターである分、相性が悪いというユーザー の方もいて当然でしょう。とりあえず、ほんの少しの自負とたいへんな恐縮をもって、 このグラフィックエディタを皆さんに使ってみていただきたい、と思う次第です。 <提供ファイル> 提供するファイルは、次の5つです。 artemis.exp 本体 artemis.pen ペン先データ artemis.cfg 設定ファイル artemis.icn TownsMENU 用アイコンファイル man.txt このマニュアル ARTemis をコマンドラインから起動する場合、artemis.pen と artemis.cfg の2 つのファイルは、環境変数 PATH または PATH386 によって設定されているディレ クトリのうちいずれかに置いてください。 ARTemis を TownsMENU にアイテム登録してご使用になる場合、アイコンの絵柄と して artemis.icn ファイルをご活用ください。 <動作環境> システムは、TownsOS の version 2.1 以上が必要です。また、本体のメモリ容量 として、最低 2M バイト必要です。512×480 ドットの高解像の画面を編集するに は、本体のメモリ容量は 3M バイト以上必要です。 <ARTemis の著作権表示>  ・ARTemis(artemis.exp, man.txtの2つのファイル)の著作権は、すべて作者であ   る松内 良介が保有する。ただし、ペン先データの内容(artemis.penファイル)   については作者は著作権を有しない。  ・ARTemisの著作権表示を変更してはならない。  ・ARTemisを使用して作成したデータについては、作者は著作権を有しない。 ・ARTemisを使用することにより生じた損害については、作者はいっさい責任を負 わない。  (以下、artemis.exp, artemis.pen, artemis.cfg, artemis.icn, man.txtの5つ   のファイルをまとめて「ARTemisパッケージ」とする。)  ・ARTemisパッケージの再配付は、それが個人的な再配付であれば、まったく自由   に行ってよい。不特定多数への再配付(パソコン通信などによる配付、雑誌・商   品などに添付しての配付など)については、事前に作者へ連絡すること。  ・いかなる再配付においても、パッケージの内容を変更してはならない。すなわ   ち、パッケージに含まれるファイルはすべて一括して配付すること。  ・再配付のさいは、著作権表示・パッケージの内容を変更してはならない。 ・作者はこのプログラムに不備があっても、それを訂正する義務を負わない。 <作者への連絡について> ARTemis についてのご要望・ご批評・ご感想をお待ちします。 作者への連絡は、Nifty-Serve の GFC01743 へメールくださるか、または Oh! FM-TOWNS 編集部気付にてお手紙でお願いします。 ============================================================================= ■ 2章 起動方法 ============================================================================= ARTemis を起動するには、記憶容量として 2M バイト以上が必要です。また必要なフ ァイルは、artemis.exp, artemis.pen, artemis.cfg の3つです。 起動の方法は、次の3通りです。 ・TownsOS のコマンドモードから起動する ・TownsMENU のファイル名表示から起動する ・TownsMENU にアイテム登録をして、そのアイコンをクリックして起動する ● 2.1 コマンドモードからの起動 私はいつもはこのコマンドモードから起動しています。コマンドラインには、次 のように指定してください。 run386 artemis [-x(画像横ドット数)] [-y(画像縦ドット数)] ([ ] 内は省略可) -x, -y オプションは、画像の大きさを指定するためのものです。たとえば次のよ うに指定してください。 run386 artemis -x512 -y480 run386 artemis -x1024 -y728 これらのオプションを指定せずに、ただ単に run386 artemis として起動すると、画像の大きさは横 320×縦 240 ドットになります。 [注 1] メモリが 2M バイトだけの場合、320×240 より大きい画像は編集でき ません。512×480 以上の画像を編集するには、メモリが 3M バイト以上 必要です。 [注 2] artemis.cfg, artemis.pen は、環境変数 PATH または PATH386 で指定 されているディレクトリのどれかに置くようにしてください。ARTemis 本体は、起動時にこの2つのファイルをそれらの環境変数にしたがって 探します。PATH や PATH386 に設定されておらず、しかもカレントディ レクトリではないディレクトリにこれらのファイルがあっても、ARTemis 本体はそれらを読み込むことができません。 [注 3] カレントディレクトリに artemis.exp がない場合、起動時は run386 e:\bin386\artemis のように、artemis.exp の位置をフルパスで指定してください。 (いち いちこう指定するのは面倒なので、バッチファイルを作るか、386.COM (TOS 氏作成) を使うかするとよいでしょう。) ● 2.2 TownsMENU のファイル名表示からの起動 TownsMENU 上で 「ファイル名表示」モードにし、ARTEMIS.EXP のファイル名を直 接2回クリックすれば起動できます。なおこのとき、artemis.exp, artemis.pen, artemis.cfg の3つのファイルは、同じディレクトリに入れてください。 ただ、この方法には大きな欠点があります。それは、オプションを設定できない ため、画像の大きさが 320×240 に固定されてしまうということです。 ですから、TownsMENU 上から ARTemis を起動するには、次項で説明するようにア イテム登録を行い、それによりパラメータを設定するとよいでしょう。 ● 2.3 TownsMENU にアイテム登録して起動する 3 つのファイル artemis.exp, artemis.pen, artemis.cfg を同じディレクトリに 入れてください。そして、TOWNS MENU にて、アイテム登録を行います。各パラメ ータは次のように設定します。 パス 3つのファイルを置いたディレクトリ名を指定する ファイル名 artemis.exp と指定する タイトル ARTemis と指定する オプション 「-x512 -y480」などと指定する OS 種別 TOWNS OS を選択する ディレクトリ移動 「あり」を選択する 1つのアイテムにつき、オプションは1通りしか設定できないので、 「320×240 ドット画像の編集用のアイテム」(この場合はオプションは指定しなくてよい)、 「512×480 ドット画像の編集用のアイテム」、というように、編集したい画像の 大きさごとにアイテムを用意するとよいでしょう。 アイテム登録を行ったあとは、メニューに表示されるアイテムをダブルクリック するだけで起動できるようになります。 ============================================================================= ■ 3章 基本操作方法 ============================================================================= 操作は、概して直観的にわかりやすいように気をつけてあります。まずはいろいろと やってみて、操作の感覚をつかんでください。ふだん TownsOS 上のアプリケーション を使っている人であれば、それほど違和感なく慣れることができるとおもいます。 ● 3.1 使用する機器と、キーボード使用上の制限 操作はすべてマウスで行います。そして、文字列を入力する場面では、キーボー ドを使用します。なお、キーボードから文字列を入力するときには、漢字の入力 はできません。半角英数字のみが入力できます。 ● 3.2 マウスのボタンの役割 マウス操作は、基本的には左ボタンが「決定」、右ボタンが「取消」または 「ス ポイト (=その位置の色を拾う)」という意味を持ちます。 ボタン操作は、すべてクリック (押してすぐ離す)、またはドラッグ (押しながら マウスを移動させ、そのあと離す) のどちらかです。ダブルクリック操作が必要 な場面はありません。 ● 3.3 スクロールについて 画面上に表示されているのが編集画像の一部分である場合には、マウスカーソル を画面の端へもっていくことによって画面がスクロールします。 ● 3.4 メニューの表示と移動について メニュー (ウィンドウ、というほど大したものではありません) は、コマンドを 選ぶときには画面に出ていますが、描画や編集を行うときには画面から消えます。 ほとんどのメニューは画面内の好きな位置に移動させることができます。メニュ ーの上端部分にカーソルをあわせ、左ボタンを押せば、メニューが消えて枠だけ の表示になります。左ボタンを押したままマウスを移動させることにより、その 枠が移動します。希望の位置で左ボタンを離せば、その位置にメニューがふたた び現れます。 ● 3.5 領域指定について ARTemis では、さまざまな編集操作を、ユーザーが矩形またはポリゴン (多角形) で囲んだ領域に対して行うことができます。このそれぞれの領域指定の手順は、 次の通りです。 [ 矩形による領域指定の手順 ] 1. 矩形の対角線を考え、その一方の頂点にカーソルを移動し、左クリックす る。 2. 対角線の反対側の頂点にカーソルを移動し、左クリックする。これで、そ の対角線よりなる矩形内の領域を指定したことになる。 [注] 2 の段階で右ボタンを押すと、領域指定をはじめからやりなおすことがで きる。 [ ポリゴンによる領域指定の手順 ] 1. ポリゴンの各頂点を、左ボタン操作で指定する。(左ボタンを押している 時のマウスの位置が、頂点として記録される。押しながらマウスを移動す ると、頂点が連続することになるので、輪郭は曲線になる。) 2. 頂点の指定が終わったら、右ボタンを押す。すると、最後に指定した頂点 と最初に指定した頂点をむすんでできる多角形の内部の領域を指定したこ とになる。 [注] なお、左ボタンを押しながら右ボタンを押すと、その領域指定をはじめか らやりなおすことができる。 ============================================================================= ■ 4章 メインメニュー ============================================================================= ARTemis を起動すると、まずこのメインメニューが画面に現れます。 ┌────────────────────────┐ │ ARTemis │ │┌───┐┌┬┬┬┐┌┬┬┐┌────────┐│ ││ 6 │├┼┼┼┤│││││ ││ │└───┘├┼┼┼┤│││││ ││ │┌┐┌─┐├┼┼┼┤└┴┴┘│ 5 ││ │└┘├ 3┤└┴┴┴┘ ↑2 │ ││ │4↑ └─┘ 1↑ └────────┘│ └────────────────────────┘ メインメニュー メインメニュー上には、次の 6 つの表示を配置してあります。 1. 16 パレット表示 描くときの色を選ぶため 2. RGB バー表示 描くときの色を選ぶため 3. 描画色/背景色表示 描くときの色を選ぶため 4. ペンサンプル表示 描くときのペン先を選ぶため 5. アイコン表示 いろいろな描画コマンドを選ぶため 6. ビューカーソル表示 画面が編集画像のどこを表示しているのか知るため それぞれの表示には、次のような意味とはたらきがあります。 [ 16 パレット表示 ] 32768 色の中の 16 色がここに表示されます。この 16 マスのうちどれか 1 つの 位置に白い枠 (パレットカーソル) が表示されており、その位置の色を 「パレッ ト選択色」とよびます。ユーザーが 16 マスのどれかをクリックすると、パレッ トカーソルがそこに移動し、描画色 (または背景色) がその色に切り替わります。 [ RGB バー表示 ] パレット選択色の RGB 成分が表示されます。ユーザーがバーを操作 (バーを直接 ドラッグ/バーの下の上下矢印をクリック) すると、その色成分が変化し、パレ ット選択色と描画色 (または背景色) も同時に変化します。 [ 描画色 / 背景色表示 ] 現在の描画色と背景色がそれぞれ上と下に表示されます。背景色というのは、後 述する透過コピーなどの際に透明色としてはたらくなどの役目をします。描画色 または背景色の一方に白枠 (描画色背景色選択カーソル) が表示されていますが、 これは描画色または背景色をクリックすればそちらに移動します。16 パレット表 示や RGB バー表示を操作した場合、描画色と背景色のうち、このカーソルで選択 している方がその操作と同時に変化します。 [ ペンサンプル表示 ] 現在選んでいるペン先の形が表示されます。ユーザーがここをクリックすると、 メインメニューが消えて 「ペン先編集メニュー」が画面に現れ、ユーザーはその メニュー上でペン先を選んだり編集したり、また全体の描画濃度を設定したりす ることができます (「ペン先編集」の章を参照)。起動時には、大きさ 1 ドット・ 濃度 100% のごく普通のペン先 (つまり、最も絵を描きにくいペン先ですね) を 選んだ状態になっています。 [ ビューカーソル表示 ] 「現在画面に表示されているのは、画像全体のどの部分にあたるのか」が表示さ れます。これは、画面を超える画像を編集したり、画像を拡大表示しながら編集 したりするときのための機能です。この表示をクリックしたりドラッグしたりし ても、何も起こりません。 [ アイコン表示 ] このメインメニューから呼び出すことのできる数々のコマンドのアイコンが並ん でいます。 (メインメニューのアイコン表示) ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ │D1│D2│D3│D4│D5│D6│D7│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │D8│F1│F2│E1│E2│E3│E4│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │F3│F4│F5│E5│E6│E7│E8│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │F6│F7│F8│E9│Ea│K1│K2│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │X1│X2│X3│X4│ │ │X5│ └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ これらのアイコンに対応するコマンドは、次の通りです。コマンドを呼び出した いときは、対応するアイコンをクリックしてください。 メインメニューの各アイコンの意味 ===================================================================== アイコン コマンド 分類 --------------------------------------------------------------------- D1 自由曲線 描画 D2 自由点描 描画 D3 直線 描画 D4 にじみペン 描画 D5 スプレー 描画 D6 矩形フィル 描画 D7 多角形フィル 描画 D8 閉領域フィル 描画 --------------------------------------------------------------------- F1 こすりペン 効果/描画 F2 ジャギー除去 効果 F3 ぼかしペン 効果/描画 F4 ぼかし(領域指定) 効果 F5 輪郭強調 効果 F6 砂ペン 効果/描画 F7 砂(領域指定) 効果 F8 色彩変換 効果 --------------------------------------------------------------------- E1 コピー(矩) 編集 E2 コピー(ポ) 編集 E3 拡大縮小コピー(矩) 編集 E4 拡大縮小コピー(ポ) 編集 E5 左右反転コピー(矩) 編集 E6 左右反転コピー(ポ) 編集 E7 上下反転コピー(矩) 編集 E8 上下反転コピー(ポ) 編集 E9 回転コピー(矩) 編集 Ea 回転コピー(ポ) 編集 [注] (矩):矩形による指定 (ポ):ポリゴンによる指定 --------------------------------------------------------------------- K1 セーブ ディスク k2 ロード ディスク --------------------------------------------------------------------- X1 アンドゥー 編集  X2 ビュー(画像眺望) 編集  X3 パターン編集 その他 X4 設定 その他 X5 終了 その他 ===================================================================== また、メインメニューが表示されている状態では、メニューの外を右クリックするこ とによって、その位置の色を拾うことができます。パレット選択色と、RGB バー表示、 描画色 (または背景色) がその色に切りかわります。 ============================================================================= ■ 5章 終了方法 ============================================================================= ARTemis を終了したいときは、メインメニューのアイコン表示の右下端にある 「EXIT」アイコン (ドアの絵柄; 前出の図の X5 番のアイコン) をクリックして下さ い。 「ARTemis を終了しますか?」という確認のメニューが出るので、 「OK」のボタンを クリックすれば ARTemis は終了します。 ============================================================================= ■ 6章 ARTemis ご使用上の注意点 ============================================================================= ● 6.1 メモリ容量が少ないときの問題 ARTemis は、メモリをたくさん食べます。そのため、本体メモリ 2M バイトのマ シンでは、320×240 より大きな画像の編集ができなくなってしまいました。もう しわけありません。 ARTemis は、起動時に大まかなメモリチェックを行います。ですから、起動さえ できれば、だいたいどんな機能も問題なく使える、と考えていただいてかまいま せん。 実行中に本体メモリ容量が問題になるのは、「パターン編集」あるいは 「ベタ形 式でのセーブ・ロード」の場合です。 パターン編集のときには、パターンを格納するためのメモリ領域は、それが必要 になるごとに新たに確保するようにプログラムを作ってあります。ですから、あ まりにたくさんのパターンを登録しようとしたり、あまりに大きなパターンファ イルをロードしようとしたりすると、メモリが不足する場合があります (私の実 験では、本体メモリ 2M バイトマシンで、16×16 のパターンを 80 個あまり登録 しようとした時点でメモリが不足しました)。そのような場合には、ARTemis は警 告メッセージを出力してメインメニューに戻りますが、いったん 「メモリ不足」 の警告が出たあとは、動作が不安定になる恐れがありますので、できるだけすみ やかに画像をディスクに保存して ARTemis を終了してください。 また、ベタ形式でのセーブ・ロードのときにも、それを実行しようとした時点で 新たにメモリが必要になります。この時点で必要なメモリが不足している場合、 ARTemis はなんの警告も出力せず、ただ単にベタ形式のセーブ・ロードをとりや める、という動作をします。そんなときは、とりあえず TIFF 形式で画像をセー ブ・ロードしてください (TIFF 形式でのセーブ・ロードは必ず行えます)。 ● 6.2 ファイルメニューのファイル名数の制限の問題 ARTemis のファイルメニューのディレクトリ一覧表示では、同時には 300 個以上 のファイル名は扱えません。ですから、あまりに数多くのファイルが置いてある ディレクトリを表示すると、途中までしか表示できません。 ============================================================================= ■ 7章 ARTemis の背景 ============================================================================= ARTemis にはいったいどういう用途があり、何が得意で何が不得意なエディターなの か理解して頂くために、この章で、ARTemis の背景となっているお絵描きのすすめか た (すなわち、私個人のお絵描きの方法) をご説明します。 どんなお絵描きについても言える「大まかな絵柄からしだいに細部へ」という原則は、 ARTemis でも変わりません。そこでまず、ARTemis の背景となっている 「大まかな絵 柄」の描き方を、次に「細部の描きこみ方」へと話をすすめます。 ● 7.1 大まかな絵柄を描く方法 ・7.1.1 「色の面」による発想 一般的なグラフィックエディタでは、まず輪郭線をかいていくことによって 大まかな絵柄をつくるひとが多いようです。 もちろん ARTemis はそのようにも使えますが、ARTemis の背景となっている 描き方は 「色の面をべたべたと置いていく」、つまり、絵全体の大まかな色 の配分を、輪郭線で発想するのではなく 「色の面」で発想し、それを直接画 面につくっていくような描き方です。 以下では、そのような描き方の例として3つの方法をご説明します。 ・7.1.2 方法その1「自由点描でべたべた」 まずペン先として、 「●」の形をした濃いペン先をえらびます (ペン先の選 択や編集については、「ペン先編集」の章を参照してください)。次に「自由 点描」コマンドによって、色を画面に置いていきます。あとは 「色をえらん で、自由点描」という作業をくりかえせば、ほどなく画面上に大まかな色の 配置ができあがります。 ・7.1.3 方法その2「多角形フィルでべたべた」 「多角形フィル」コマンドを用いても、大まかな色の配置は行えます。自由 点描で色を置いていくよりも、多角形フィルを使った方がスピーディーに色 が配置できるケースもよくあります (とくに高解像度画像の場合)。 ・7.1.4 方法その3「こすりペンでぐいぐい」 「こすりペン」を使う方法もあります。まず太くて濃いペン先を選び、自由 点描コマンドにより、使う色を画面のところどころに少しずつ置いておきま す。次にこすりペンの「こすれやすさ」を最大にして ( 「各種パラメータの 設定」の章を参照)、こすりペンコマンドを実行し、画面に置いた色をぐいぐ いと引きのばしていけば、色の配置ができあがる、というわけです。 ● 7.2 細部の描きこみかた ・7.2.1 基本は「うすめのペンで自由点描」 大まかな絵柄を描くときは、太くて濃いペン先を使えば、自由点描コマンド だけでどんどん色を置いていけることはご説明しました。 それと同様に、今度はペン先をすこし細めにして、濃さもすこしうすめのペ ン先を使って、自由点描で色を 「少しずつ」置いていきましょう。こうすれ ば、絵は前よりも少し完成に近くなります。 そして次はもう少しペン先で、というようにしてどんどんくりかえせば、絵 は完成するというわけです。 ・7.2.2 こすりペンをうまく活用する ARTemis の 「こすりペン」機能は、なにも特殊なエフェクトのための機能な んかじゃありません。絵の細部の描きこむときに、非常に強力な道具となる 機能です。 なにしろ、いろいろなペンとくみあわせてこすりペン機能を使えば、さまざ まなグラデーションや効果がすぐさま描けてしまうのです。しかも、クレヨ ンや絵の具と違って、いくらこすっても汚れたりしません。 こすりペンについては、「こすれやすさ」を設定できます ( 「設定」コマン ド)。これにより、どこまでも色が伸ばせるこすりペンや、ほんの少ししかこ すれないこすりペンなど、いろいろに応用できます。 ・7.2.3 「もやもや」を作るにじみペン機能 「にじみペン」機能も、単なる洒落でつけた機能では断じてありません。こ れも、絵の細かい描きこみや、うまく細部をサボって描きたいときに便利に 使えます。 にじみペンの最も代表的な活用例が 「雲」です。ほかにも、葉の茂み、光の フレア、血のにじみなど、さまざまな (まともに描くととても手間のかかる) ものの表現に活用できます。 にじみペンについては、「にじみやすさ」を設定でき (「設定」コマンド)、 これによりにじむ範囲の大きさを調節できます。 ● 7.3 ARTemis の背景となったお絵描きの方法のまとめ ARTemis の背景となった絵の描き方をひとことで言ってしまうと、 「ペンの太さ を選んで、濃さを選んで、色を選んで、自由点描、のくりかえし」になります。 あと補助的にこすりペンやにじみペンの機能をうまく使えば、とてもラクに楽し くお絵描きできる、ということです。 もちろん、この描き方はあくまでも背景にすぎません。みなさんにはどんどんご 自分なりに活用していただきたいのですが、このような背景を覚えておいていた だければ、ARTemis らしい新しい活用法を発見する手掛かりになるかもしれませ ん、なんて都合よく考えたりします。 最後に、より自由に絵を描くために、私がいつも頭に刻みこんでいる言葉をご紹 介します。 「どんな機能であろうと、それがあるからといってわざわざ使っ てやる必要はない。絵なんて、自分の知っている方法で描けば いいのだから。」 ============================================================================= ■ 8章 描画コマンド ============================================================================= この章では、ARTemis に備わっている機能のうち、画面に描画を行うコマンド、すな わち色を置いたり、線を引いたり、指定領域内を塗りつぶしたりするためのコマンド を順番に説明します。なお、コマンドとアイコンの対応については、メインメニュー の章をご参照下さい。 [この章で説明するコマンド] 自由点描 自由曲線 直線 にじみペン スプレー 矩形フィル 多角形フィル 閉領域ペイント ● 8.1 自由点描 コマンドを実行すると、メインメニューが消え、画面は十字カーソルだけになり ます。その状態で、マウスを左ドラッグ操作してください。現在選んでいる色・ ペン先によって、マウスの動きに応じて画面に色が置かれていきます。 ARTemis において、最も重要な (と私は考えている) コマンドです。 これを決して「点線を描く」なんて発想してはいけません。 「色を置く」または 「色をばらまく」と発想しましょう。そして、色を置くときにどのように置くの かを、ペン先パターンによって指定するわけです。 ● 8.2 自由曲線 これは、操作法は自由点描と全く同じです。 こちらは、「色を置く」というよりは、ふつうに 「曲線を描く」という使い方を する場合が多いでしょう。 このコマンドは、太いペン先のときに実行すると、描画がマウスの動きについて こない場合がよくあります。このコマンドを使う時は、ペン先はできるだけ細く しましょう。 ● 8.3 直線 次の手順で操作してください。 1. 直線の始点にカーソルを移動させ、左クリックする。 2. 直線の終点にカーソルを移動させ、左クリックする。これで、始点と終点 を結ぶ直線が描画される。 3. その終点が今度は始点となるので、2 の操作をくりかえす。 [注] 2 の時に右クリックすると、1 の段階に戻ります。1 のときに右クリッ クすると、コマンドが終了します。 どのグラフィックエディタにもついている、直線を描画するコマンド。あんまり 使わないなあ...。 ● 8.4 にじみペン 操作方法は、自由点描コマンドと全く同じです。左ボタンを押すと、その位置に 色がどんどんにじんでいきます (にじんでいるように見えないって? そりゃ失 敬)。 これは、 「なんかもやもやしたもの」を描きたいときに利用すると、非常に便利 です。 もやもやの中心の濃度は、描画濃度によって設定できます (ペン先編集メニュー の章をご参照ください)。また、もやもやの広がり具合は、「にじみやすさ」によ って設定できます (「各種パラメータの設定」の章をご参照ください)。 ● 8.5 スプレー 操作方法は、自由点描コマンドと全く同じです。左ボタンを押すと、その位置を 中心とした直径 16 ドットの円内に色が吹きつけられていきます。 前述の 「にじみペン」コマンドをつくるまでは、もやもやしたものを描きたいと きには私はこのコマンドを使っていました。にじみペンのおかげで、このコマン ドの出番がなくなってしまいました。ですが、にじみペンのもやもやとは違った タイプのもやもやが描けるので、必要になったら使ってやってください。 ● 8.6 矩形フィル 矩形で領域指定した部分を、描画色で塗りつぶします。描画濃度 (ペン先編集メ ニューの説明参照) の設定が有効です。 私はこのコマンドは、画面上の絵を消す時にしか使いません (笑)。 なお、領域指定のときには、「範囲座標限定」スイッチが有効です。 ● 8.7 多角形フィル 多角形で領域指定した部分を、描画色で塗り潰します。描画濃度の設定が有効で す。 これは、ある範囲に色をのせるのに、とても有用なコマンドです。描画濃度を設 定することで、「少しだけのせる」とか 「べったりのせる」とかいうように、色 ののせ具合を調節できます。 ● 8.8 閉領域ペイント コマンドを実行するとメニューが消えるので、塗り潰したい領域内の点を左クリ ックしてください。その点と同じ色でつながった部分が、描画色でぬりつぶされ ます。 私は、絵を描くときにこのコマンドを使ったことはまだ一度もありません (笑)。 ============================================================================= ■ 9章 効果 (エフェクト) コマンド ============================================================================= この章では、ARTemis に備わっている機能のうち、画面上の絵にさまざまな効果 (エ フェクト) を与えるコマンドを説明します (ただし、色彩変換については次章で説明 します)。なお、コマンドとアイコンの対応については、メインメニューの章をご参照 ください。 [この章で説明するコマンド] こすりペン ジャギー除去 ぼかしペン  ぼかし (領域指定) 輪郭強調  砂ペン    砂 (領域指定) 色彩変換 ● 9.1 こすりペン これは、 「クレヨンや油絵の具で描いた絵を指でこする」という手法をコンピュ ーターで実現しようというコマンドです。ARTemis のコマンドの中でも非常に重 要な (と私は考えている) コマンドです。 操作は左ドラッグで行います。効果は、ペン先の形にあわせて現れるので、大き いペン先を選んだ状態でこのコマンドを実行するほうが、効果が確認しやすいと 思います。 せまい範囲でこの「こすり操作」を行えば、 「ぼかし」とよく似た効果になりま す。しかし、広い範囲にわたってこの 「こすり操作」をうまく使うと、バラエテ ィに富んだ表現が可能です。 たとえば、広い範囲の複雑なグラデーションをつくったり、絵に動きを付けたり、 すでに描いた絵の明暗の配分を微調整したりしたいときに、このコマンドを使う とよいでしょう。青空に浮かぶ入道雲、人の顔を描いたときの影の調節、何かの 表面に汚れをつけたいとき、あるいは、動物の毛並み、草原に生い茂る草、など、 いろいろと応用できます。現実の画材と違って、絵の具が乾いたり、紙が破れた り、だんだん黒ずんできたりすることはありません。 こするときのこすれ具合は、「こすれやすさ」(「設定」コマンドにて設定できる) によって調整できます。 ● 9.2 ジャギー除去 コンピューターでお絵描きしていると、どうしてもドットのギザギザ (これをジ ャギーと言います) が気になりがちです。 このコマンドは、多角形で領域指定した範囲について、なんと 「ジャギーを目立 たなくする」という処理を行います。 これは、単にぼかすだけの処理とはぜんぜん違う処理です。もともと戸田 浩氏の グラフィックエディター 「ニュートランスファー」に搭載されている機能で、そ の戸田氏オリジナルのアルゴリズム (ファジィレガート法) は非常に難解です。 しかし、効果は非常に大きく、荒い画面にてきとうに描いた絵を、解像度は荒い ままながらなめらかに見えるように変換してくれるのです。 私はこの機能がとても好きで、なんとか ARTemis にも搭載しようと、ニュートラ ンスファーのソースプログラムからアルゴリズムを理解しようと奮闘してみたの ですが、そのアルゴリズムは私の不出来な頭に理解できるものではありませんで した。そこで戸田氏にお願いして、ニュートランスファーのその部分のソースプ ログラムを、ARTemis のために流用させていただきました。 ● 9.3 ぼかしペン ぼかしたい位置にカーソルを移動し、左ボタンを押してください。選んでいるペ ン先の形にあわせた部分について、ぼかし処理が行われます。そのまま左ドラッ グを続けると、座標が変わるたびにあらたにぼかし処理がおこなわれます。 コマンドを終了したいときは右クリックしてください。 ぼかし効果が、ペン先の形にあわせて現れることに注意してください。このコマ ンドは、できるだけ大きいペン先を選んだ状態で実行すると確認しやすいでしょ う (大きさ 1 ドットのペン先を選んでいるときにこのコマンドを実行しても、ほ とんど効果は目に見えません)。 ● 9.4 ぼかし (領域指定) これは、多角形で領域指定した部分について、ぼかし処理を行うという機能です。 ● 9.5 輪郭強調 これは、多角形で領域指定した部分について、輪郭を強調する処理を行う機能で す。 ● 9.6 砂ペン これは、なめらかすぎてつまらない部分に、すこしザラザラした感じを与えるた めのコマンドです。 効果を与えたい位置にカーソルを移動し、左ボタンを押してください。選んでい るペン先の形にあわせた部分が、ザラザラした感じになります。そのまま左ドラ ッグを続けると、座標が変わるたびにあらたに 「ザラザラ処理」がおこなわれま す。 コマンドを終了したいときは右クリックしてください。 これも、効果がペン先の形にあわせて現れることに注意する必要があります。で きるだけ太いペン先を選んだ状態で行うとよいでしょう。 ● 9.7 砂 (領域指定) これは、多角形で領域指定した部分について、砂処理を行うという機能です。 ● 9.8 色彩変換 色彩変換というのは、画面のある領域を「赤に近づける」とか 「明るくする」と か「暗くする」とかいうように変換することです。 このコマンドを実行すると、次のようなメニューが現れます。 ┌──────────────────┐ │ 色を変換する │ │もとの色 ┌ 1┐ ┌┬┬┬┐┌┬┬┐ │ │ └─┘ ├┼┼┼┤││││ │ │変換後の色┌ 2┐ ├┼┼┼┤││││ │ │ └─┘ ├┼┼┼┤└┴┴┘ │ │ ↓5 └┴┴┴┘←3 ↑4 │ │変換方式: 1 2 3 4 │ │┌────────────────┐│ ││ ││ ││ 6 ││ ││ ││ │└────────────────┘│ │┌─ 7┐┌─ 8┐┌──── 9┐ │ ││実行││取消││モノクロ化│ │ │└──┘└──┘└─────┘ │ └──────────────────┘ 色彩変換の操作手順は、次の通りです。  1. 変換のもとの色を選ぶ  2. 変換後の色を選ぶ  3. 変換方式を選ぶ  4. 「実行」をクリックし、色彩変換する領域をポリゴンで領域指定する  [注] 1,2,3のときには、メニューの 「取消」をクリックすればコマンドを     終了できる。4のときは、領域指定を始めていないときに右クリック     するとコマンドを終了できる。 [変換のもとの色、変換後の色を選ぶ] たとえば「青を緑に変えたい」というときなら、メニュー中の 「もとの色」 (図中 1) に青を、 「変換後の色」(図中 2) に設定する必要があります。こ れは、メインメニューで描画色や背景色を設定するのと全く同じ要領です。 図の 3 や 4 で示す 16 パレット表示や RGB バー表示を用いて色を選んでも いいですし、またメニューの外で右クリックして、その位置の色を拾うとい う手もあります。 [変換方式を選ぶ] 変換方式には4通りあります。それぞれは、次のような変換です。 [標準変換] RGB 空間での回転+スカラー倍による変換です。たいていはこれでこ と足りますが、色ベクトルをスカラー倍するので、明るい色の階調が 乱れてしまう可能性があります。 [グラデ保存変換] RGB 空間での回転+平行移動による変換。明るい色の階調も、壊れま せん。 [ちょびっと変換] RGB 空間での平行移動のみによる変換。ちょっとだけの色彩変更のと きによいでしょう。 [RGB 掛け算変換] RGB 各要素についての色 1, 色 2 の比を全色に掛ける。特定の色要 素を強 (弱) めたいときによいでしょう。たとえば、元の色が (R10,G10,B10)、変換後の色が (R8,G10,B12) の場合、指定した領域 内の色に対し、赤は 0.8 倍、緑はそのまま、青は 1.2 倍、という変 換を行います。 これら4つの違いは、あまり重要なことではないので、よくわからなければ 「いつも標準変換」でいいでしょう。 ============================================================================= ■ 10章 編集コマンド ============================================================================= この章では、アンドゥー、画像眺望コマンドと、画像を複写するためのコピーコマン ド群について説明します。 コマンドとアイコンの対応については、メインメニューの章をご参照ください。 [この章で説明するコマンド] アンドゥー           画像眺望 コピー (矩形/ポリゴン)     拡大縮小コピー (矩形/ポリゴン) 上下反転コピー (矩形/ポリゴン) 左右反転コピー (矩形/ポリゴン) 回転コピー (矩形/ポリゴン) ● 10.1 アンドゥー ひとつ前の操作を取り消したい、という場合にはこのコマンドを実行します。 これを実行すると、画面が、直前に実行したコマンドを実行する前の状態に戻り ます。 ● 10.2 画像眺望 これは、 「画像全体をみわたす」ためのコマンドです。これを実行すると、メイ ンメニューが消えて、画像全体が最小拡大倍率で表示されます。 ここで、画面に画像が表示しきれない場合は、この状態でマウスを動かすことに より、画像がスクロールするので、画像の全体を見渡すことができます。 拡大率を上げて編集している場合に、全体が見渡したくなったときにこのコマン ドを用いると、拡大率を「1」や 「2」に設定し直すよりも効率よく画像全体を 把握することができます。 マウスの右ボタンをクリックすると、コマンドは終了します。 ● 10.3 コピーコマンド群 ARTemis には、次の5通りのコピーコマンドがあります。 ・通常コピー ・拡大縮小コピー ・左右反転コピー ・上下反転コピー ・回転コピー この5種類とも、領域指定は矩形とポリゴン (多角形) のどちらでも行えます。 また、コピーの際には「描画濃度」「COPY 時演算/黒透過の境界補正」の設定が 関係してきます。また、矩形による領域指定の際には、 「範囲座標限定」の設定 が関係してきます。これらの設定は、「設定」コマンドで行ってください。 では、上記の5種類のコピーコマンドの操作法を説明します。 ・10.3.1 通常コピー、左右反転コピー、上下反転コピー この3つは、どれも操作は共通しています。 1. まず、コピー元となる図形を矩形 (またはポリゴン) で領域指定してくだ さい。 2. コピー先の位置にカーソルを移動し、左クリックしてください。コピーが 行われます。 3. 2 の操作をくりかえしてください。 [注] 3 のときに右クリックすると、1 に戻ります。1 で、領域指定を始める 前に右クリックすると、コマンドが終了します。 ・10.3.2 拡大縮小コピー 1. コピー元となる図形を矩形 (またはポリゴン) で領域指定してください。 2. 拡大・縮小後の大きさとコピー先を、矩形で領域指定してください。拡大 縮小コピーが行われます。なお、領域指定の際には、コピー元となる図形 を囲む長方形の縦横の辺の長さの比を表すガイドラインが表示されるので、 縦横の比をそのままに拡大縮小したい場合は、このガイドラインに従って 領域指定してください。 3. 2 の操作をくりかえしてください。 [注] 3 のときに右クリックすると、1 に戻ります。1 で、領域指定を始める 前に右クリックすると、コマンドが終了します。 ・10.3.3 回転コピー 1. コピー元となる図形を矩形 (またはポリゴン) で領域指定してください。 2. 回転する角度を指定してください。これは、コピー元となる図形を囲む長 方形を考えたときに、その長方形の中心から右へ向かう方向を 0 度とし たときの角度を指定する操作です。 3. コピー先の位置にカーソルを移動し、左クリックしてください。回転コピ ーが行われます。 4. 3 の操作をくりかえしてください。 [注] 4 のときに右クリックすると、2 に戻ります。2 で右クリックすると、 1 に戻ります。1 で、領域指定を始める前に右クリックすると、コマンドが 終了します。 ============================================================================= ■ 11章 ディスクとのやりとり ============================================================================= ● 11.1 画像の保存 描いた画像をディスクに保存するコマンドです。 このコマンドを選ぶと、次のようなファイルメニューがあらわれます。 ┌───────────────────────┐ │ 画像をディスクへ保存する │ │File: ┌─────────────────┐1 │ │ └─────────────────┘ │ │Path: ┌─────────────────┐2 │ │ └─────────────────┘ │ │Mask: ┌─────────────────┐3 │ │ └─────────────────┘ │ │┌─────────────┬┐ファイル形式 7│ ││ ├┤ 圧縮TIFF │ ││ ││ 非圧縮TIFF │ ││ 4 ││ ベタ │ ││ ││ │ ││ ││ │ ││ ├┤ │ │└─────────────┴┘ │ │┌──┐ ┌──┐ │ ││実行│5│取消│6 │ │└──┘ └──┘ │ └───────────────────────┘ 保存コマンドのファイルメニュー ユーザーがファイル名表示の部分 (図中 1) にカーソルをあわせ、左ボタンをク リックすると、ファイル名表示の中にカーソルが現れます。ここでキーボードか ら保存するファイルの名前を入力してください。入力を終了するときは、リター ンキーを押してください。 なお、名前を入力している途中でユーザーが ESC キーを押すと、このコマンドが 中断し、メインメニューにもどります。名前を入力している途中で右ボタンをク リックしても同じです。 ディレクトリ表示の部分 (図中 4) には、現在選択しているディレクトリのファ イル名・ディレクトリ名一覧が表示されます。全部が一度に表示できない場合は、 右側のスクロールバーを操作して閲覧することができます。ユーザーがこのディ レクトリ表示の部分をクリックすると、その位置のファイル名がファイル名表示 のところに転送されます。 実行ボタン (図中 5) を左クリックすると、カーソルが時計マークに切り替わり、 現在指定されているファイル名のファイルに画像を保存します。すでにディレク トリ表示に表示されているファイルに上書きしたい場合は、ユーザーは、ディレ クトリ表示のそのファイルを左クリックしてからこの実行ボタンを左クリックす るという操作を行うだけで画像を保存できます。キーボードを使う必要がありま せん。 取消ボタン (図中 6) を左クリックするか、マウスの右ボタンをクリックするか すれば、保存コマンドを終了してメインメニューにもどります。 ファイル形式表示の部分 (図中 7) で、保存するときのファイル形式を選択でき ます。ベタというのは、編集している画像を何も手を加えずに 1 ドット2バイト で出力するということです。 なお、圧縮 TIFF で保存すると、圧縮作業のために多少時間がかかります。暴走 しているのではありません。 パス名表示 (図中 2) というのは、ディレクトリ表示のところに表示するディレ クトリを指定するためのものです。ここを左クリックすると、表示したいディレ クトリのパス名をキーボードから入力できます。 マスク名表示 (図中 3) というのは、これにマッチするファイル名だけをディレ クトリ表示のところに表示するためのものです。ここを左クリックすると、マス ク名をキーボードから入力できます。たとえば、*.tif のように設定しておくと 便利な場合があります。 ● 11.2 画像の読み込み ディスクに保存してある画像を読み込むためのコマンドです。 このコマンドを選ぶと、保存コマンドと同じようなファイルメニューが画面に現 れます。違いは、ファイル形式選択表示の代わりに、「通常ロード」と 「演算ロ ード」の選択表示があることだけです。 操作も、保存コマンドと全く同じです。 ARTemis は、ファイルのフォーマットを調べ、TIFF(圧縮または非圧縮) の場合は TIFF ファイルとして読み込みます。TIFF でない場合は、ベタとして読み込みま す。 「通常ロード」を選択している場合は、ロードした絵は画面にそのまま上書きさ れますが、「演算ロード」を選択している場合は、 「ディスクから画面へコピー するように」ロードが行われます。つまり、「描画濃度」「COPY 時演算/黒透過 の境界補正」の設定が関係してくるのです (描画濃度の設定、COPY 時演算の設定 についての説明もご参照ください)。 「演算ロード」をうまく活用することによって、画面上の絵とディスク上の絵を 合成して新しい絵をつくる、ということができます。 ============================================================================= ■ 12章 各種パラメータの設定 ============================================================================= ARTemis の動作に関しては、ユーザーはいろいろなスイッチやパラメータを操作でき るようになっています。 操作できるパラメータには、次のようなものがあります。  -------------------------------------------------------------------  小格子の表示スイッチ 1 ドットごとに格子を表示させるかどう                 かの指定  大格子の表示スイッチ 数ドット〜数十ドットごとに格子を表示                 させるかどうかの指定  大格子の格子単位のサイズ 大格子の間隔の指定  画面の拡大率 画面を何倍に拡大するかの指定  COPY時の演算 背景色を透明色とみなした重ね合わせコ                 ピーをするかどうかの指定  透過COPY時の境界補正スイッチ  範囲座標限定スイッチ 矩形による領域指定のとき、自動的に座                 標を大格子に沿わせるかどうかの指定  にじみやすさ にじみペンの広がりやすさの指定  こすれやすさ こすりペンのこすれやすさの指定  カーソル色 カーソルの色の選択  起動時の画面色 起動時の画面の色の設定  ------------------------------------------------------------------- これらを設定するには、メインメニューの 「設定」アイコンをクリックします (メイ ンメニューの章を参照)。 また、ここで設定した内容は、ARTemis を終了する時に artemis.cfg ファイルに出力 され、次回 ARTemis を起動する時に読み込まれるので、一度設定すると次回に設定し なおす必要はありません。 ● 12.1 小格子, 大格子 画面を拡大したときに、ひとつひとつのドットを細い黒線で区切って表示するの が 「小格子」です。また、小格子を、いくらかの間隔をおいて白線で表示するの が大格子です。 これらの機能は、ARTemis をパターンエディタとして使うために用意したもので す。小格子・大格子を両方表示して、大格子の格子単位を 16 × 16 ドットにす れば、画面を 16 × 16 ドットごとに編集することができます。これと、後述す るパターン編集コマンド、範囲座標限定スイッチをくみあわせれば、パターンの 作成が ARTemis で行えます。 ● 12.2 画面の拡大率 ARTemis には、画面を拡大して編集する機能があります。これは、一般のグラフ ィックエディタのルーペ機能とは違い、 「画面を拡大したまま、ふだんと全く変 わらない編集作業ができる」というものです。 画面を拡大すると、ディスプレイ上には、もとの画面の一部分しか表示されませ ん。しかし、カーソルを画面の端に移動すれば、画面全体がスクロールするので、 ふだんと同じ感覚で編集を続けることができます。 拡大率は、1, 2, 4, 8, 16 倍の 5 種類から選ぶことができます。(ただし、画像 の大きさが 512×480 よりも小さい場合は、倍率を 1 に設定することはできませ ん。) ● 12.3 COPY 時の演算, 透過時の境界補正 これは、ようするに「重ね合わせコピー」のための機能です。 COPY 時演算が「上書き」の場合、コピーのときにはコピー元の絵のすべての部分 が転送されますが、 「背景色透過」の場合、コピー元の絵の中で背景色の部分は 転送されません。ですから、コピー元の絵から背景色の部分をとりのぞいた絵を コピーすることができます。これはつまり、背景色を透明と見なすということな ので、「背景色透過」と呼ぶわけです。 なお、本当に背景色に等しい部分だけを透明とみなしてコピーすると、輪郭のギ ザギザが目立ってしまう場合があります。 「透過時の境界補正」は、背景色に近い色を半透明色とみなし、重ねあわせコピ ーのときの輪郭をなめらかにするためのスイッチです。 ● 12.4 範囲座標限定 これは、 「矩形による領域指定」のときに、矩形を大格子に沿ったものに限定し てしまうためのスイッチです。 ARTemis をパターンエディタとして使う場合、たとえば 16 × 16 ドットのパタ ーンを編集するときに、いちいち 1 ドット単位で領域指定しなければならないと いうのでは不便です。そんなとき、大格子のサイズを 16 × 16 ドットにしてお き、この範囲座標限定スイッチを ON にすれば、矩形による領域指定をすべて自 動的に大格子に合わせてくれるので、1 ドットのずれを気にしなくてもよくなり ます。 ● 12.5 にじみやすさ にじみペンを使うときの、にじみの広がりの大きさを設定します。 ● 12.6 こすれやすさ こすりペンを使うときの、こすれやすさを設定します。 これが 0 の場合、まったくこすれないこすりペンになります。逆に 256 の場合、 いつまでもこすれてしまう (つまり、どこまでも色を伸ばせる) こすりペンにな ります。必要に応じてこの値を大きくしたり小さくしたりすれば、いろんな用途 にこすりペンを使うことができます。 ● 12.7 カーソル色 画面の拡大率が 2 倍以上のときのカーソルの色を設定します。あかるい画像のと きは暗灰色に、暗い画像のときは明灰色にするとよいでしょう。 ● 12.8 起動時の画面色 起動時の画面色を、白と黒の2種類から選択できます。 ============================================================================= ■ 13章 ペン先編集 ============================================================================= ペン先が自由に編集できることは、ARTemis の重要な特徴のひとつです。細いペン、 太いペン、濃いペン、薄いペン、複雑な形のペンなど、多彩なペン先が作成できます。 これと自由点描コマンドを組みあわせるだけで、ほとんどどんな絵でも描けてしまい ます。 ペン先編集を行うときには、メインメニューの 「ペンサンプル表示」を左クリックし てください (メインメニューの章を参照)。すると、次のようなペン先編集メニューが 画面に現れます。 ┌──────────────┐ │ ペン先の形状を設定する │ │ 描画濃度:┌───────┐│ │6↑ └───────┘│ │┌───┐┌───────┐│ ││ ││ ││ ││ ││ ││ ││ ││ 2 ││ ││ ││ ││ ││ ││ ││ ││ 1 ││ ││ ││ │└───────┘│ ││ │┌┐ ┌┬──┬┐3│ ││ │└┘0└┴──┴┘ │ ││ │┌─┐┌─┐ │ ││ ││ 4││ 5│ │ │└───┘└─┘└─┘ │ └──────────────┘ ペン先編集メニュー ペン先リスト表示の部分 (図中 1) には、あらかじめ私が用意したペン先がならんで います (artemis.pen ファイルに記録されているペン先です)。 ペン先リスト表示の部分をクリックすれば、その位置のペン先を選んだことになりま す。現在選んでいるペン先の所には、ペン先選択カーソルが表示されています。 ペン先拡大表示の部分 (図中 2) には、現在選んでいるペン先が拡大表示されていま す。この部分を左クリックしたり左ドラッグしたりして、現在選んでいるペン先をつ くりなおすことができます。ここで左ボタンを押すと、そのドットの濃度が、現在の 濃度表示 (図中 3) に表示されている濃度に変更されます。ペン先拡大表示の中で右 クリックすると、それはスポイト操作の意味になります。つまり、濃度表示が、その ドットの濃度に変更されます。 濃度表示 (図中 3) には、ペン先拡大表示のところに置くための濃度が、0 から 256 の数値で表示されています。0 が濃度 0%(つまりペン先に含まれないという意味)、 256 が濃度 100% という意味です。この数値は、右側のバーにより操作できます。 保存ボタン (図中 4) は、編集したペン先データをファイルに保存したいときに左ク リックして下さい。起動時に読み出した artemis.pen ファイルに上書きされます (起 動時に artemis.pen ファイルが見つからなかったときは、カレントディレクトリにあ らたに artemis.pen ファイルが作成されます)。 読み込みボタン (図中 5) は、編集を取り消したいときに左クリックしてください。 起動時に読んだのと同じ artemis.pen ファイルが再び読み込まれ、それまでのペン先 編集を取り消すことができます。 描画濃度 (図中 6) というのは、ARTemis のコマンド全般を実行する時の描画濃度を 設定するものです。ここで設定した濃度は、あらゆる描画コマンドだけでなく、コピ ーなどの編集のときにも有効です。 描画濃度を 0 に設定すると、ARTemis では何も描くことができません (スプレーだけ は使えるけど)。描画濃度は 256 が最大で、このときは、描画の場合はペン先の濃度 での描画になり、編集のときはふつうの上書き編集になります。描画濃度をその中間 に設定すると、あらゆる描画や編集がそれに影響を受けます。また、画像をロードす るときに 「演算ロード」を選択してロードすると、画面上の絵の上に半透明にディス ク内の絵を重ねる、というような使い方もできます。 ============================================================================= ■ 14章 パターン編集 ============================================================================= ARTemis は、スプライトエディタやパターンエディタとしても使えるように作ってあ ります。これから説明するパターン編集コマンドを中心として、 「設定」コマンドで 設定できる小格子、大格子の表示スイッチ/範囲座標限定スイッチ/画面の拡大率の パラメータは、パターン編集のために用意したものです。 コマンドを実行すると、次のようなメニューが画面いっぱいに現れます。 ┌──────────────────────────┐ │ 画像をパターンとして編集する 2 │ │┌──────────────────┐┌────┐│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ 1 │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │├────┤│ ││ │└────┘│ │└──────────────────┘      │ │ ┌──┐│ │ 3│終了││ │ └──┘│ └──────────────────────────┘ パターン編集メニュー ● 14.1 パターン編集の概要 まず、ARTemis によるパターン編集の概要を説明します。 パターン編集は、ふだんの画面とは違うパターンバッファというところを中心に 行います。ユーザーは、パターンを画面から切り取って、このパターンバッファ の上に並べていきます。そして、パターンバッファに並べたパターン群に対して、 個別に移動したり削除したり、複数のパターンをまとめて削除したり複製したり します。そして、パターンバッファ上の内容をディスクに保存したり、ディスク 上のパターンデータをパターンバッファ上に読み込んだりします。 メニューの図をもとに説明すると、以下のようになります。 画面から切り取ったパターンはすべてパターンバッファ (図中 1) 上に並べられ ます。これらのパターンは、左ドラッグ操作によりいつでもパターンバッファ内 を移動させることができます。また、(マウスを動かさずに) パターンを左クリッ クすれば、そのパターンが 「選択された」状態になり、画面上ではそのパターン は反転表示されます。 パターンを右クリックすると、そのパターンの位置に 「サブメニュー」が表示さ れます。このサブメニューによって、ひとつのパターンに関する情報を得ること ができ、またそのパターンに対する編集を行うことができます (詳細は後述)。 パターンバッファの右側にずらりと並んでいるのは、パターン編集のための各種 コマンドのコマンドリストです (図中 2)。アイコンの絵柄を考えるのが面倒くさ かったので、文字ボタンにしてあります。サブメニューが個別のパターンを編集 するためであるのに対し、コマンドリスト上の各コマンドは、複数のパターンを まとめて編集するときのためのものです (詳細は後述)。 また、この「パターンバッファ」の表示は、拡大率がいつも2倍で表示されます。 スプライトを使う時にはこの倍率で表示するケースがほとんどなので、問題はな いと思います。 パターンバッファ上でないところで右クリックするか、あるいは右下にある 終了 ボタン (図中 3) を左クリックすれば、パターン編集コマンドは終了し、メイン メニューにもどります。 ● 14.2 パターンバッファにパターンを登録する パターンバッファには、最初はパターンはひとつも登録されていません。パター ン編集を行うには、なにはともあれ、パターンバッファにパターンを登録する作 業を行う必要があります。 コマンドリストの 「パターン登録」のボタンを左クリックすると、画面がふだん の画面に切り替わります。ここで、パターンとして登録したい矩形領域を指定し てください ( 矩形領域の対角線の一端を左クリックし、次に、対角線のもう一方 の端を左クリックします)。 矩形領域の指定がおわると、画面はパターン編集画面に切り替わります。パター ンバッファ内をカーソルが移動しますから、パターンを置きたい位置で左クリッ クしてください。 パターン登録の操作は以上です。 矩形領域の指定のときには、 「範囲座標限定」スイッチが有効です。パターンの 大きさが、たとえば 16 × 16 ドットというようにあらかじめ決まっている場合 は、このスイッチを ON にしておくと便利です。 ● 14.3 パターンバッファの保存, 読み込み パターンバッファの状態をディスクに保存するには、コマンドリストの 「全パタ ーン保存」を左クリックします。すると、画面にファイルメニューが現れます。 画像の保存のときと同じ要領で、ファイル名を指定してディスクに保存してくだ さい。 なお、コマンドリストの 「選択パターン保存」を左クリックすると、現在選択し ている (反転表示している) パターンだけをディスクに保存できます。 ディスク上のデータをパターンバッファに読み込むには、コマンドリストの 「パ ターン新規読込」を左クリックします。すると、画面にファイルメニューが現れ ます。これも同じ要領で、ファイル名を指定して読み込んでください。 なお、 「パターン新規読込」コマンドの場合、以前のパターンバッファの内容は 消去されてしまいます。以前のパターンバッファの内容を残したまま、ディスク 上のパターンデータを読み込みたい場合は、 「パターン追加読込」コマンドを実 行してください。 ● 14.4 パターン編集の各種コマンド パターン編集メニュー内で実行できる編集コマンドには、つぎのようなものがあ ります。 ------------------------------------------------------------------------- パターンの選択状態の操作 左クリック / 全選択 / 全選択取消 / 全逆選択 パターンの非表示状態の操作 選択非表示化 / 全表示 / 全非表示化 / 全逆表示 パターンの抹消 (サブメニュー)削除 / 選択パターン抹消 パターンの複製 (サブメニュー)複製 / 選択パターン複製 ------------------------------------------------------------------------- ・14.4.1 パターンの選択 パターンを「選択」する操作の最も単純なものは、 「パターンを左クリック する」という操作です。すでに選択されているパターンを左クリックすると、 そのパターンは選択されていない状態にもどります。 しかしそれだけでは、パターンの数が増えると面倒くさくなってきます。そ こで、全選択というコマンドをコマンドリスト上に用意しました。このコマ ンドを実行すると、表示されている全部のパターンが選択された状態になり ます。 同様に、全選択取消コマンドを実行すると、すべての選択が取り消されます。 全逆選択コマンドを実行すると、選択されているパターンの選択が取り消さ れ、選択されていないパターンがあらたに選択された状態になります。 ・14.4.2 パターンの非表示化 パターン数があまりに多くなってくると、全部のパターンが表示されるのは うるさくなってきます。そこで、一部のパターンを、 「存在するけど表示さ れない」状態にすることができます。これを「非表示状態」と呼びます。 選択非表示化コマンドを実行すると、現在選択された状態にあるパターンが 非表示化されます。全非表示化コマンドを実行すると、存在するすべてのパ ターンが非表示化されます。逆に全表示コマンドを実行すると、存在するす べてのパターンの非表示状態が解除されます。全逆表示コマンドを実行する と、表示されているパターンは非表示化され、表示されていないパターンは 表示されるようになります。 ・14.4.3 パターンの抹消 いらなくなったパターンを消去したいときは、そのパターンを選択状態にし てから 選択パターン抹消コマンドを実行してください。複数のパターンも一 度に抹消できます。 一つだけのパターンを抹消したいときは、そのパターンの所でサブメニュー を表示させ、サブメニューの 「削除」コマンドを用いる、という方法があり ます。 ・14.4.4 パターンの複製 複数のパターンを複製したい場合は、それらを選択状態にしてから 選択パタ ーン複製コマンドを実行してください。 ひとつのパターンだけを複製したい場合は、サブメニューの 「複製」コマン ドを用いると便利です。 ● 14.5 サブメニューの活用 サブメニューとは、パターンにカーソルをあわせて右クリックしたときに表示さ れるメニューのことです。これには、以下のような機能が備わっています。 (a) そのパターンを抹消する (b) そのパターンを複製する (c) そのパターンの名前をユーザーが入力する (d) そのパターンの略称をユーザーが入力する (e) そのパターンの大きさ(縦・横のドット数)を表示する (f) そのパターンに用いられている色の数を表示する (g) そのパターンを編集画像にコピーする(貼り付け) (a), (b) についてはすでに説明したとおりです。 (c) の機能は、パターンひとつひとつに名前をつけるための機能です。名前を付 けておくと、スプライトデータなどに変換したとき、どのデータがどのパターン を表すのかがすぐ確認できます。 「パターン名」という表示の右の四角を左クリ ックすると、その中にカーソルが現れるので、キーボードからパターン名を入力 してください。 (d) の機能は、 「パターンの本当の名前は長いけれど、パターンバッファ上では 短い略称で名前を表示したい」というときに使います。(c) の機能と同じ要領で 使用してください。 (g) の機能は、パターンを編集画像にコピーするという機能です。もちろん、 COPY 時演算や描画濃度の設定が有効です。これは、「パターン登録」の逆の機能 です。 ● 14.6 データ形式の変換 パターン編集の機能の一端として、パターンデータをもとにしてスプライトデー タや文字列データを作成することができます。 FM-TOWNS のスプライトには「16 色スプライト」と「3 万色スプライト」の 2 種 類ありますが、ARTemis で作成できるスプライトデータは 3 万色スプライトのも のだけです。 一方、 「文字列データ化」というのは、ようするにパターンの色コードを文字列 にして出力するだけの機能です。詳細は後述します。 ・14.6.1 スプライトデータ化 スプライトデータは、C 言語の配列データ、または BASIC の DATA 文、ある いはバイナリデータとしてファイルに出力する、というかたちで作成します。 まず、スプライトデータ化したいパターンを 「選択された状態」にしてくだ さい。そして、コマンドリストの 「スプライトデータ化」のところを左クリ ックしてください。ファイルメニューが現れます。 ファイルメニューの操作法は、他の場面と全く同じです。ただ、スプライト データ化コマンドの場合、ファイル形式として 「C 言語の配列」, 「BASIC の DATA」, 「ベタ (情報なし)」, 「ベタ (情報あり)」の 4 種類を選べま す。 C 言語の配列というのは、スプライトデータを次のような形で出力すること を意味します。 static char sprite_32k[][512] = { /* myship */ { 33, 10,129, 10,165, 20,231, 28, 0,128, 0,128, 0,128, 0,128, ... ..., 0,128, 0,128, 52, 70, 85, 74,133, 16, 0,128 }, /* bomb */ { 0,128, 0,128, ... ... }; ここで、各パターンデータのデータの前には、そのパターンの名前 (サブメ ニューで設定する) がコメントとして出力されます。 BASIC の DATA というのは、スプライトデータを次のような形で出力するこ とを意味します。 10000 ' 32768色 スプライトパターンデータ 10010 ' myship 10020 DATA 8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000 10030 DATA 8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000 10040 DATA 8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000 10050 DATA 8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000 10060 DATA 8000,8000,8000,8000,8000,18c6,2d6b,2d6b 10070 DATA 2d6b,18c6,.... ここで、1つのパターンは 32 行の DATA 文からなり、各パターンデータの データの前には、そのパターンの名前 (サブメニューで設定する) がコメン トとして出力されます。 ベタで出力する、というのは、スプライトデータをそのままファイルに出力 する、という意味です。この場合、出力されるバイナリファイルの内容は次 のようになります。 --------------------------------------------------------------- オフセット(単位:バイト) 内容 --------------------------------------------------------------- + 0 〜 + 511 1 個目のスプライトパターンのデータ +512 〜 +1023 2 個目のスプライトパターンのデータ ... +512(n-1) 〜 +(512n-1) n 個目のスプライトパターンのデータ ... --------------------------------------------------------------- ベタ (情報なし) のファイル形式の場合、このバイナリファイルだけが出力 されます。 ベタ (情報あり) のファイル形式の場合、このバイナリファイルに加え、次 のような「パターン名リストファイル」が拡張子 .SPI にて出力されます。 0: AMOUEBA 1: AMOUEBA2 2: IKA ... これは、バイナリファイルの中のパターンとパターン名 (サブメニューで設 定) の対応をあらわすリストです。 ・14.6.2 文字データ化 これは、パターンを次のような形式で出力するコマンドです。 MYSHIP 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 35ad 2529 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0842 4633 210a 0c63 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 1084 39d1 1ce8 1084 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 0000 294a 4634 252a 0c63 ... つまり、ドットの色コードを表す 16 進文字列を、縦・横にパターンの大き さ分だけならべたデータを出力します。なお、各パターンデータの前には、 パターン名 (サブメニューで設定) が出力されます。 このコマンドを実行する前にまず、文字列化したいパターンを選択状態にし てください。そして、コマンドリストの 「文字データ化」のところを左クリ ックしてください。ファイルメニューが現れます。 ファイルメニューの操作法は、他の場面と全く同じです。ファイル名を指定 して、データを出力してください。 「こんなコマンドが一体何につかえるんだ」という疑問が起こって当然です。 このコマンドは、私が ARTemis のアイコンをデザインするために用意したと いう、非常に私的で特殊な機能ですから、ほとんど使い道はないと思います。 しかし、sed や awk などのテキスト変換ツールや、テキストエディタの置換 機能などを活用すれば、このパターンデータも何らかの用途に使えるかもし れません。なんて無責任な! ● 14.7 順表示アニメ これは、選択状態にあるパターンを、パターン番号 (各パターンの下に表示され る番号) の小さい方から順に表示していくだけのコマンドです。しかし、パター ンの動きの簡単なチェックには使えます。 順表示させたいパターンを選択状態にしてから、コマンドリスト中の 「順表示ア ニメ」ボタンを左クリックしてください。パターン番号の小さい順に、順番に表 示されていきます。一巡すると、またパターン番号が最小のパターンにもどって 表示されます。 マウスのボタンをクリックするとコマンドは終了します。 「パターン番号の小さい順に」ということに注意してください。これは少し不便 な制限です。しかし、パターン名をうまく工夫して、名前順ソートコマンドを実 行すれば、パターン番号を思いどおりに付け替えることができます。 ============================================================================= ■ 15章 付録 ============================================================================= ● 15.1 パターンデータ (バイナリ) の形式 「パターン編集」コマンドで 「パターン保存」を実行したとき出力されるパター ンデータは、次のような形式です。 (a) 128 bytes 1 つのパターンについてのヘッダ (b) x bytes 1 つのパターンのグラフィックデータ (EGB_getBlock 形式) この (a),(b) のくりかえし。 1 つのパターンについてのヘッダは、次のような内容になっています。 offset size field-name + 0 4 . 無意味 + 4 41 name パターン名(文字列の終端には 0 が入る) +45 15 subname パターン略称(文字列の終端には 0 が入る) +60 4 xlen パターンの大きさ +64 4 ylen 〃 +68 4 bufx パターンバッファ内での位置 +72 4 bufy 〃 +76 4 patbufsize パターンデータのバイト数 +80 4 . 無意味 +84 1 selected 選択されているなら 1, されていないなら 0 +85 1 nodisp 非表示状態にあるなら 1, されていないなら 0 +86 4 zoomx ドット比率(常に1) +90 4 zoomy 〃 +94 1 . 無意味 +95 33 dummy 無意味(ヘッダを128バイトに調節するため) ● 15.2 BASIC 形式のスプライトデータの利用例 ARTemis により出力した BASIC の DATA 文のスプライトデータを利用するための プログラムは、たとえば次のようになります。 1000 'スプライトの表示 サンプル 1010 DEFLNG A-Z 1020 DIM PAT%(255) 1030 'スプライトパターンの設定 1040 DEF SPRITE 99,0 1050 RESTORE 10010 1060 FOR I=0 TO 255 1070 READ A:A=VAL("&H"+A):IF A>32767 A=A-65536 1080 PAT%(I)=A 1090 NEXT 1100 DEF SPRITE 0,0,PAT%,1 1110 'スプライトキャラクタの設定 1120 DEF SPRITE 1,100,(120,140),0 1130 'メイン 1140 SCREEN@ 1 1150 SPRITE ON:SPRITE SCREEN 1 1160 SPRITE 0,100,1 1170 GOTO 1170 10000 ' 32768色 スプライトパターンデータ(ARTemisの出力) 10010 ' 10020 DATA 8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000,8000 10030 DATA 8000,800....