(12)不安 数時間が過ぎました。 ポエルの容体は急速に悪化していきました。 顔や手足にはかさぶた状のものでおおわれ、見るもいたいたしい感じです。 医療機械は、12時間以内に身体機能が停止する確率が70%だといっています。 それは、まもなく死ぬかもしれない、ということです。 ジャンパー「だめだ、着陸船の医療設備じゃ。母船にもどれば、あるいはなんとか      なるかも」 ルナリィ 「じゃあ、いっこくも早く」 ジャンパー「うん。離床手順組み立て……あれ」 ルナリィ 「どうしたの?」 ジャンパー「もどれない。計算によると、燃料が足らない。 この惑星の脱出速度を、出せないんだ」 ルナリィ 「……どうして、また」 ジャンパー「わからない。どうしてこうなったんだろう」 ルナリィ 「うそでしょ。まさか。この惑星から、一歩もでられなくなったってい うの?」 ジャンパー「いや。ただの計算ちがいさ。たぶん。       もういちど、最初から計算をやりなおしてみよう」 ■