手仕事の大好きなばんちゃんでしたね。若いときに作った振り袖のひながたを、青い目の人形に着せ換えて遊ぶ私たちを、暖かく見守ってくださいました。  雛形は、本物の振り袖を小さくしたもので、中には真綿がうすく入っている、手の込んだものでした。ボロボロになるまで遊んでしまったのですが、大事にしておけばよかったな、と、しきりに思い出します。  それから、着古した衣類を小さく切って、平らになるように何枚も重ねて、毎日雑巾を作っていましたね。色使いや針目に注意して、なるべく真っ直ぐに縫えるように、器用に半分にたたんで確かめながら針を進ませていましたね。糸が足りなくなると、木綿糸をほぐしてつないでしまうのでした。うっかり針から糸が抜けてしまうと、糸を通してあげるのが私たちの役目で、学校から帰るのをずっと待っていましたね。  小学校に、たくさんの雑巾を寄贈していましたので、そうじの時にばんちゃんの雑巾を手にするときはとても嬉しかったことを思い出します。ばんちゃんの雑巾はとても丈夫で、一緒におろした雑巾がボロボロになっても、まだしっかりしていました。雑巾が役立っている話をすると、ばんちゃんはとても喜んでいましたね。  お前たちが小学生の頃は、あちこち連れていってもらって良かった、と後になって聞きました。それは、お寺や親戚にお参りするときのことでした。距離にすれば100メートルくらい、ほんの短い道中でしたが、季節の良い時分など、日差しを浴びてとても楽しそうでした。