ゲームとは何か    ──ゲームとは遊びではなく競技である──                      木 村 美 輝  まえがき  やはりファミコンの影響なのでしょうか。ゲームというものが徐 々にではありますが、子供の専有物であるかのような誤解から解放 されて来ているようです。若者の間にボードゲームやカードゲーム が静かなブ−ムを呼んでいるというのがそのいい例です。こうした 傾向はこれからますます強まるでしょう。つまりやがては大人も堂 々とゲームを楽しむ時代がやって来るということです。しかも、そ れはそう遠い先のことではないでしょう。  しかし実を言えば「ゲームは子供の専有物」というのは大嘘で、 ずっと以前からゲームは子供の間だけではなく大人の間でも楽しま れてきたのです。しかしこう書くと、怪訝な顔をされる方が多いこ とでしょう。「ゲームなんて子供がするものじゃないか」と信じて 疑わない方がまだまだ多いでしょうから。 結論から先に書いてしまうと、ゲームという言葉は誰一人知らな い人はいないのにその真の意味を正しく理解している人は極めて稀 だから「ゲームは子供の専有物ではない」ということが分かりにく いのです。それではゲームの真の意味とは一体何なのでしょうか。 実は単純なことなのですが、それはこの本を読んで行くうちに自然 と明らかになるでしょう(お断りしておきます。ここで私のいう「ゲ ーム」というのは英語の単語「GAME」と必ずしも一致するもの ではありません。ここでいう「ゲーム」とは「ボードゲーム」「カ ードゲーム」などという言葉の総称であって、したがってその意味 内容も「GAME」という単語の辞書的な意味とは必ずしも一致し ません)。  なお、本書は「理論編」と「実際のゲーム」という二つの部分か らなっています。理論編は「ゲーム=遊び」という従来の解釈を正 した新しい定義によるゲーム理論で、そもそもゲームを理論づける ことからして一般的ではないので、いささか奇妙に思われてしまう かも知れません。この「理論編」こそが本書の核です。「実際のゲ ーム」の方はいくつかの興味深いゲームを紹介したものです。型破 りな本ではありますが、著者としてはゲームを愛好するすべての方 に読まれることを期待しています。