しばらくすると、男は戻ってきた。もう、頭は痛くないようだ。  なにか、袋を手にしていた。 「なんだ、それは?」 「マンガ本だ」  男は、派出所の椅子にどすんとすわると、マンガを読み始めた。  よほど面白いのだろう。たちまち、 「あ〜はっはっはっはっはっ」  大笑いし始めた。  が、しかし。  普通、一度知ったギャグは、なかなか二度笑えないものである。  しかし、男は何度も笑っている。それに、真ん中辺りまで読むと、最初からまた読み直している。そして、また笑っている。 「・・・・・・・」  吉川は、なんか裏がある、と思っていた。何度も笑える、最初から読み直す・・・これは、名前を覚えていないのと関係があるのでは・・・  さて、ここで、あなたたちにも推理をしてもらおう。この後、ストーリーがどう展開していくのか。推理しないで先に行ってもいいが、推理した方がいいだろう。だって、このゲームは、それが目的なのだから・・・。