雪山の中を、吉川の赤い車が走っていた。  さっき、急に自動車電話が鳴って、 「雪道を歩いていたら、人が倒れていた」  低い声が、聞こえてきた。  たぶん、遭難でもしたんだろう、と吉川は思っていた。  が、それはある一つの事件に関わっていたのだった。