題名: FM-TOWNS II の電源をリモート制御する試み      FC8用     (動作確認はTOWNS HR)             by 51丸 1994/02/11 ★ 前置き  私はパソコン通信ネットワーク「NIFTY−Serve」で、通信を楽しんで いる通信暦一年程の初心者です。 「MOPTERM」と「NYAN/E2」のお蔭で、楽ちんで快適な通信をしてい ます。  そんなある日、FTOWNS1というフォーラムの中で、Asaki(ハンドルネーム)さんが 「TOWNS HRの電源を、タイマーで入れるように出来ないだろうか?」※1 と質問されたのがきっかけになり、超簡単なハードを作ってみました。 このような物は、既に自作しておられる方もいらっしゃると思いますが・・・ TOWNSの電源制御に関しては、Oh!FM-TOWNS誌1992年夏の特別号でも紹介されていま すので、記憶に残っている方もいらっしゃると思います。     ┌────────────────────────────────┐     │※1 TOWNS は、コンセントを差し込むだけでは電源が入らず、POWER │     │のボタンを押して始めて、電源が入るようになっています。     │     │(UX,UG,UR等の一体型はSWの構造が異なりますので、話が違います) │     │そのためTOWNS の電源コードをタイマーに差しただけでは、タイマーは│     │時間にちゃんと入っても、TOWNS の電源は入らない事になります。  │     │でも、代わりに ソフトウェア で電源を切る事が出来ますね(一体型を除く)│     └────────────────────────────────┘ ★ どんな物なの?  ACアダプター(市販品)と電源制御器&コネクターの構成です。 市販のタイマーのコンセントに、ACアダプターを差し込みTOWNSのRS-232C端子に、 電源制御コネクターを取り付けます。 注)TOWNSの電源コードをタイマーに差し込む訳ではありません。 ★ どうしたらTOWNSの電源を外部からON,OFF出来るの? 極論から話してしまいますと、TOWNSのRS232C端子の11番ピンと1番ピンにスイッチ をつなげばTOWNSは電源ON,OFFします。(危ない表現だな〜 汗;) (TOWNS HR,TOWNS SEで動作確認しましたが、他機種については不明)    本体背面から見たRS−232Cインターフェース   13   11                   1   ○ ○ ● ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ●    ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○    25         20           14        1.フレームグラウンド(アース)       11.電源制御端子 ☆ 補足 1.TOWNS HRは電源コードがコンセントに差し込んである状態では、電源ON,OFF   いずれの状態でも、RS−232C端子の11番ピンに+15Vが出ています。  ┌───────────────────────────────────┐  |TOWNS SE という文教モデルに触れる機会があったのですが、SEは+6Vの電圧ッス|  |SE は、基本的にはME と同じシャーシ構造ですので、おそらく今回の回路で |  |TOWNS ME,MA,MX も動作するのではないかと思っていますが、よく判りません |  └───────────────────────────────────┘  (TOWNS II 以前のモデルについては、今回の回路で動作するかしないか、謎です) 2.11番ピンの電圧が15V→0Vに変化すると、TOWNSの電源はOFFからON,   またはONからOFFへと状態を変化させます。   逆に0V→15Vに変化しても何も起きません。   ちなみにTOWNSのPOWERボタンを押すと、押している間は15V → 0Vになってます。 3.タイマーの入りを利用しますので、タイマーの電源が1分後に切れたとしても、   一度入ったTOWNSの電源は切れません。   TOWNSの電源を切りたいときには、切りたい時間にタイマーが入るようにすれば   よいです。でも電源OFFは、ソフトウェアから切るほうがベターですが・・ ☆ このRS−232C端子の11番ピンを応用すると、モデムからの呼び出し信   号を利用して、外から電話が掛かったらTOWNSの電源が入って、草の根ネットの   ホストプログラムが動き出す、なんて事も可能かも知れませんね。 ★ 作ってみようかな タイマーで予約された時間に、TOWNS君が「プン」と軽快な音をたてて、自動的に 電源が入るのを見ると、ほっぺがゆるんじゃいますょ〜(*^_^*)♪ パソコン通信をされているなら、タイマー予約の時間になるとTOWNSの電源が入り、 NIFTY-Serve等に自動ログインし各会議室を巡回、ダウンロード、ログアウト、そし て電源OFFという無人運転を堪能出来ます。 (私は MOPTERM 用のオートパイロット NYAN/E2 をちょっと変更して使っています) リモコン式のタイマーを使って、布団の中から寝ながらにしてTOWNSの電源を入れる 事も出来ちゃいます。(実践してまふ〜♪ 不精な私) (最近はTOWNSの電源ボタンに触れる事が、全く有りません) ★ 費用は? ジャンク品等をうまく利用すれば\2,000もかからないと思います。 ただし、タイマーは別途に調達して戴くことになります。 ★ 材料・部品 ┌─────────────────────────────────────┐ │               材 料 表                 │ ├───────┬─────────────────────────────┤ │ACアダプター│無負荷で12Vが出れば良い 私は6V用のジャンク品¥480│ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ 基板    │穴空きの万能基板 穴のピッチがICの足に合う事4×4cm位| ├───────┼─────────────────────────────┤ │ ケース   │名刺の入っていたプラケースなんかが手頃ですが お好きなのを| ├───────┼─────────────────────────────┤ │ IC    │C−MOSタイプ 4093BP シュミットトリガーNAND│ ├───────┼─────────────────────────────┤ │トランジスター│汎用の2SCタイプ 2SC−1815とか1740等 1個 │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ 抵 抗   │270 オーム1/2or1/4W 1個 カラーコード 赤・紫・茶・金 R4│ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ 抵 抗   │10K オーム 1/4W  1個        茶・黒・橙・金 R5 │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ 抵 抗   │100Kオーム 1/4W  2個        茶・黒・黄・金 R1とR3│ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ 抵 抗   │1.5Mオーム 1/4W  1個 C1放電用  茶・緑・緑・金 R2 │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │ジャンパBOX│ジェンダーチェンジヤ等と呼ばれて市販されてる           | ├───────┼─────────────────────────────┤ │コンデンサー │0.01マイクロファラッド50V程度セラミック 103と表記C3│ ├───────┼─────────────────────────────┤ │コンデンサー │100 マイクロファラッド16V程度 ケミコン C2   │ ├───────┼─────────────────────────────┤ │コンデンサー │1   マイクロファラッド16V程度 タンタル C1   │ └───────┴─────────────────────────────┘ あと、配線用の線が少々いります。         (μF=マイクロファラッド)                          ( Ω=オーム ) ☆ ジャンパBOX(私が買ったのはサンハヤトの Model:SGC-J25PSです。\1040)   が一寸高いので、自分で作ってしまう手も有ります。      D-SUB 25ピン♂と♀を買ってきて、互いを線で繋げば良いです。   コネクターは、ジャンク品で簡単に安く手に入れられると思います。   TOWNSのRS-232C端子に、既にモデム等がつながっている場合は…   もしケーブルのコネクターが分解出来るタイプでしたら、分解して1ピン,11   ピンの信号線を取り出すのが良いでしょう。   RS-232C端子を塞いでしまっても構わないなら、ジャンパBOXは必要有りません。   変わりにD-SUB 25ピンコネクター♂を手に入れて下さい。   要は、RS-232C端子の1ピンと11ピンから信号線を取り出すのが目的です。 ☆ ICはシュミットトリガータイプのインバータICでも構わないと思います。   4093BPというICはNAND回路が4回路入っていますが、今回はその1回路しか   使っていません。(しかもNAND回路として使ってない)なんか勿体ないです…。   \80デシタ ☆ ACアダプターは、電流はほとんど流れませんので、小さいやつで構いません。   6V〜12V位の電圧が、無負荷で出るのを探して下さい。   出力電圧が15Vより高いと、回路を壊してしまいますので注意して下さい。   私が買ったのは、6Vのニッカド電池を充電するACアダプターのようです。   表示は「出力6V 145mA」となっていますが、テスターで電圧を計ると   11V位の電圧が出ています。 ★ 回路動作についての説明   説明するほどの回路ではありませんが(^_^; 一応 コホ   かなりの手抜き回路で、必要最低限の回路構成になっています(EXT_PON0.TIF)   安定化電源も省略しています。シンプル&低コストを課題にしました。   ACアダプターがOFF状態の時、TOWNSのRS-232C端子11ピンはHレベルです。   ACアダプターがONになり、回路に電源が供給されると、R1を通してC1が   徐々に充電を始めるため、ICのNAND回路の入力はLレベルになっており、   ICの出力にHが出ます。   ICのH出力はトランジスターを導通させTOWNSのRS-232C端子の11ピンをL   レベルにします ⇒ <TOWNSの電源が入る>      C1の充電が完了するとICの入力端子はHに変わりICの出力がLに反転し   トランジスターをカットオフ、RS-232C端子の11ピンはHレベルに復帰します。   すなわちC1が充電完了するまでの間、パルスが発生します。   駆動パルスの幅は、約80ミリセカンド(0.08秒)です。   駆動パルスの幅はC1の容量を大きくすれば長くなります。   R1の値を大きくしても長くなります。     約80msecのパルス    H ─┐ ┌─       │ │         │ │      L  └─┘         ↑ここでTOWNSの電源が入る  ※ACアダプターがOFFになり、回路の電源が遮断されても、C2に残った電気   が放電するのに数秒かかりますので、再度ACアダプターをONにしても、その   間はパルスは発生しません。ただし、ACアダプター内部に容量の大きなコンデ   ンサーが付いている場合は、放電に要する時間が、数分かかる事も考えられます。   通常、短い時間でTOWNSの電源を「入,切」する等の使い方は、しないでしょうか   ら、問題は無いと考えます。   C1,R1:パルス発生時間の時定数設定   C2   :電源リップル除去   C3   :不要ノイズカット(パスコン)   R2   :電源OFF時放電用   R3   :  同上   R4   :過電流保護   R5   :  同上  R4の270Ωについてはかなり低い抵抗に設定しています。TOWNS HRであれば4.7K  Ωの高い抵抗値でもちゃんと動作しますが、TOWNS MEあたりのモデルでも確実に  動作してほしいので、低めの抵抗にしました。  R2(1.5MΩ)は無くても良いかと思います。  私は、後でR3を追加したので、そのままにしてますが… ★ よーし作るぞー! まず、ジャンパBOXの配線をします。1ピンと11ピン以外のピンそれぞれを互いに 接続していきます。本当は全ての線を接続しなくても良いのですが、調べてる間に接 続してしまった方が早いので…コネクターは良く見ると小さく番号が入っています。 半田付け部の、となり同士の距離が近いのでショートしないように注意が必要です。 そして電源制御用の信号線を1ピン11ピンから取り出します。私が買ったジャンパ BOXは1ピンどうしは最初からパターンで繋いで有りますが、繋がってない場合は 1ピンどうしを繋いでください。 ☆ さて制御基板の制作です。 [EXT_PON1.TIF]を参考にしてください。このTIFFは実物を制作するより、はるかに 時間が掛かっています。(^_^; コンデンサーや抵抗の色は、実際の部品の色とは違っているかも知れません。 C−MOS ICを扱いますので、静電気によるICの静電破壊に注意して下さい。 もっとも、私はいつも無造作にICをつまんで作業をしていますが、壊した経験は 未だありません。 ケミコンとタンタルコンデンサは極性があります。リード線の長い方が+になります。 極性表示も印刷して有りますので、良く見て間違えないようにしましょう。 ケミコン(100μF)は、見栄えの関係で、横に倒して取り付けます。 トランジスターは型番の見える方を自分に向け(リード線が下)左からE,C,B の並びになります。「えくぼが可愛い」で覚えましょ。型番によって並びの異なるの も、稀に有りますが…^^^  コンデンサー と トランジスターの端子    ┌┐      ┌─┐    ||      | |    └┘      └─┘ ||      ||| (「|」はリード線のつもりです。) |      ||| +-      ECB  E:エミッター アースラインにつなぎます。  C:コレクター 270オームの抵抗を通してRS-232Cコネクターの11ピンに接続  B:ベース   10Kオームの抵抗を通してICの出力端子(3ピン)に接続 ICのピン番号はEXT_PON0.TIFを参考にしてください。(上面から見た配置です。) (ICのピンは1〜14ピンまで有りますが、図では省略して書いていません。) ICの14ピンは+電源に接続,7ピンはアースラインに接続です。 ICの回路で使用しているのは1,2,3ピンだけですので、5,6,7,8,9,12,13ピンは全て アースラインに接続します。4,10,11ピンは何も接続しません。 ICはNOT回路として使用しますので1,2ピン同士は繋ぎます。 抵抗とパスコン(0.01μF)には極性はありません。 一部の抵抗は片方のリード線を曲げ、立てた状態で取り付けます。 基板には10個の部品が乗っかるだけの簡単な回路ですから、特に問題となる所は無 いと思いますが、基板のパターンを余ったリード線で作成するのが面倒でしょうか。 無垢のプリント基板を買ってきて、自分でパターンをエッチングしても良いですネ。 部品レイアウトはコンパクト優先の配置になっていますが、基板スペースは、がら空 きですので、ゆったりとした部品配置でも良いでしょう。 EXT_PON1.TIFのレイアウトの通りに作りますと、約2cm×2cmに収まってしまいます ので、かなり小さなケースにも入れられます。 小さなケースに入れる為に、基板をカットする場合は、基板固定用ネジ穴の事等も考 慮して、部品を取り付ける前にカットしておきます。 なるべく判りやすいように、基板裏面のパターンでは、+の電源ラインを赤,−の アースラインをやや太い黒で表示してみました。 基板に結線してあるコードは,黒=アース,赤=電源,黄=制御信号 と色分けして みました。 ★ つないでみようかなー 基板が完成したら、ケースに入れる作業をする前に、回路に間違いやショートは無い か、コーヒーでも飲んで頭を休め、その後基板をチェックしてください。 電源の+−の極性などを間違えると、ICは昇天してしまいます。 ACアダプターには−が芯線出力の物と、+が芯線出力の物が有りますので、 「芯線だから+だ」と信じていると回路を壊してしまいます。事前に調べて下さい。 間違いがなければ、ACアダプターをコンセントに差し込む訳ですが、やはりこの瞬 間は、今でもたまらないものがあります。わくわくドキドキ 何とも言いがたい。 では、おもむろにACアダプターの電源を入れてみましょう。 TOWNSの電源が見事に入るはずですが、どうですか? うまくいきました? 「やた!ばんざ〜い \(^_^)/♪タラリラリラ-♪」 完成したアダプターですが、私は制御回路をジャンパBOXに抱かせる恰好で取り付 ける、という強引な手段をもちいました。 部品の高さの関係で、カバーが閉まりませんので、ジャンパBOXに四角い穴を開け ました。 恰好は悪いですが、ACアダプターと制御コネクターだけのシンプルな構成になります。 皆さんは無理をされずに、別ケースに組んでください。 ★ タイマー設定の仕方 タイマーの時間の予約の方法等は、お持ちのタイマーの取扱説明書で調べて戴くと して、例えば午前6時にTOWNSの電源を入れたい場合 午前6時にタイマーが入るように時間をセットします。 そして午前6時1分にはタイマーが切れるように時間をセットします。 切れる時間は午前7時でも8時でも構いませんが、OFFになる時間は、この回路 の動作に、何の意味も持ちません。 ★ タイマーのマニュアルON,OFFを利用する場合 タイマーのマニュアルによる操作で、TOWNSの電源を入れた場合は、TOWNSの電源が 入ったらタイマーのマニュアルスイッチは、すぐにOFFにして構いません。 勿論、タイマーONのままでも問題有りませんが… ★ タイマーで予約した時の注意 すでにTOWNSの電源が入っている時にタイマーが働くと、当然ながら有無を言わさ ずTOWNSの電源は切れます。通常の使用時はタイマーが働かないようにして下さい。 ファイルのオープン中等にいきなり電源が切れると、泣くに泣けなくなります。 ★ 完成 さて、これであなたのTOWNSは希望の時間に、電源を入れる(切る)事が出来るよ うになりました。あとは皆さんのアイデア次第で、いろんな用途を見つけて下さい。 あなたのパソコンライフに、少しでも潤いを与えられれば幸せです。 ★ 最後に 当初はリレーを使った物を作りましたが、その後トランジスター式、そして今回の IC+TR版となりました。都合5個ほど制作してしまいました。 なるべく多くの方々に作って戴きたくて、説明は初心者の方にも判るように書いた つもりですが、如何でしたでしょうか? おっと、私も初心者です。 それから今回の回路の他に、もっと理想的な回路は色々考えられます。 なお、動作機種の確認報告や、「あの回路は×だよ、こんな回路の方がいいよ」 とか、何でも結構ですから、メールでも戴けると大変嬉しいです。 なお実験・制作は、個人の責任において行って下さい。 今回のハード制作の、きっかけの発言をされたNIFTY−Serve会員の 「Asaki」さんに、この場を借りてお礼を申し上げます。 写真画像の取り込み収録にあたり、下関市の学校の先生のご協力を戴きました。 お名前を知らないのですが、お心あたりの方、有り難うございました。この場を かりてお礼を申しあげます。(お茶目なファイルネームには、びっくりしました。) ※ ・MOPTERM は モップ さん作のフリーソフトウェアです。 ・NYAN/E2 は 氷面 鏡 さん作のフリーソフトウェアです。 ※ 参考文献 ・Oh!FM TOWNS 1992年 夏の特別号   (ソフトバンク社) ・FM TOWNSテクニカルデータブック改訂2版(ASCII出版) − 51丸 NIFTY-Serve ID:PEA02622 − 以上