TR - Video Buffer Emulator for DOS/V Version 1.20 1991/05/22 A.《始めに》  VGA を登載したIBM-PC/AT/PS2 及び互換機で漢字を表示する画期的なDOS/V ですが、漢字フォントをビットマップでVGA のGraphics RAMへ展開する関係上、 仮想VRAM方式をとっています。また日本語テキスト・モードは英語テキスト・ モードと同様、ビデオ・モード03h を使っています。このため英語テキスト・ アプリケーションをDOS/V の日本語環境下で起動すると、直接VRAMへアクセス しに行くアプリケーション(ほとんどのアプリケーションがこれに相当する) は画面上に何も表示されません。これは通常、英語テキスト・モードVRAMはSe gment B800h にあるのですが、グラフィック・モードに切り替わると物理的に VRAMはAddress A000h へマッピングし且つ、VGA 自体の動作が変わってしまう ためです。 TRバージョン1.20は、QEMM-386(tm)を利用し使用することができます。TRは、 これらのメモリー管理モジュールに対して、B800Hセグメントに RAM の割り付 けを依頼します。それをシステム・タイマーで監視し、アプリケーションによ って変更されれば、DOS/V の BIOS コールを使用して画面に表示します。この ようにして、DOS/V の日本語モードで英語テキスト・アプリケーションを動作 させることができます。RAM の割り付けは、80386 以上のページング機構を利 用するため、残念ながら、8086/80186/80286などの仮想86モードが使えない CP U では TR を使う事はできません。しかし、ハードウェアEMS で同様のことが できれば、80286 以下の CPUを搭載したマシーンでも動作可能だと思います。 ※ QEMM-386(tm) は米国Quarterdeck, Inc.の登録商標です。 B.《インストール − QEMM-386の設定》  QEMM-386でB800h からBFFFh までのセグメントへRAM をマッピングするオプ ションを指定する必要があります。これは、 DEVICE=C:\QEMM\QEMM386.SYS ... I=B800-BFFF ... ^^^^^^^^^^^ ……となります。  また、UMB(Upper Memory Block) へプログラムやデバイス・ドライバーをロ ードするLOADHI.SYS(.COM)を使う場合にRAM オプションを付けますが、必ずUMB の範囲指定してB800h からBFFFh までのレンジは外して下さい。EMS のPage F rameも同様に、この範囲は外して下さい。例えば、 DEVICE=C:\QEMM\QEMM386.SYS ... RAM=B000-B7FF FRAME=D000 ... ……となります。  かなりマシーン環境に左右されますから注意して設定する必要があります。 これらの事を考慮に入れてCONFIG.SYS を書くと、 rem rem CONFIG.SYS for IBM DOS J4.0/V + TR rem buffers= 20 files = 30 stacks = 0,0 country= 081,932 c:\dos\country.sys shell=c:\dos\command.com c:\dos\ /p /e:512 device=c:\dos\dev\qemm386.sys EXTMEM=2048 RAM=B000-B7FF FRAME=D000 I=B800-BFFF device=c:\qemm\loadhi.sys c:\dos\$font.sys device=c:\qemm\loadhi.sys c:\dos\$disp.sys device=c:\dos\$ias.sys device=c:\qemm\loadhi.sys c:\dos\ansi.sys /x device=d:\jdash\ATOK7A.SYS /D=D:\JDASH\ATOK7.DIC /G=D:\JDASH\JFGAIJ.UFO /I=0 /M=0 /E=0 /C=1 /B=0 /S=1 /O=0 /T=1111 device=d:\jdash\ATOK7B.SYS install=c:\dos\keyb.com jp,932,c:\dos\keyboard.sys ……と、この様な設定になります。(あくまでも参考ですから、自分の環境 にあったCONFIG.SYSにして下さい。)  どうしてもうまく行かない様ならCONFIG.SYSを以下の様にして下さい。 rem rem CONFIG.SYS for IBM DOS J4.0/V + TR rem buffers= 20 files = 30 stacks = 0,0 country= 081,932 c:\dos\country.sys shell=c:\dos\command.com c:\dos\ /p /e:512 device=c:\dos\$font.sys device=c:\dos\$disp.sys device=c:\dos\$ias.sys device=c:\dos\dev\qemm386.sys FRAME=D000 I=B800-BFFF device=c:\dos\ansi.sys /x install=c:\dos\keyb.com jp,932,c:\dos\keyboard.sys C.《使い方》  DOS/Vが無事起動すれば(CONFIG.SYSの設定が悪いと確実にハングしま すから注意して下さい。)、コマンド・ライン上からTRと入力すれば、メモリ ーへ常駐します。  TRのコマンド・オプションの書式は、 TR [-Option]  または、 TR [/Option]  となっています。オプションの内容としては以下の通りです。 [Option] ? 簡単な使い方を表示します R 常駐を解除します r    〃 E INT 10h AH=FEh or FFh 呼出をパスします e INT 10h AH=FEh or FFh 呼出を取り込みます 1 ... 9 再表示監視カウンターの設定 (Default=4)  ※ 解除オプション以外は、常駐している状態で動的に変更出来ます。  【例】 C:\>TR -? TRの使い方を表示します。 C:\>TR /R TRをメモリーから解除します。 C:\>TR -2 再表示カウンターを2 に設定します。 D.《制限事項》  1.全角文字の上にポップアップ・メニューなどが開くと、下の全角文字が化 ける場合がある。  2.システム・タイマーのINT 1Ch を使っているため、INT 1Chの割り込みハン   ドらーが正しくチェインされていない場合、画面に表示されなくなる。  3.Video Mode 07h (Monochrome Text)には対応していない。 4.TR バージョン1.20 では、通信ソフトも動作するよう TR の構造を少し改 造した。タイマー割り込みでは、基本的にイベントを発生させるだけにし、 次のキースキャン(INT16H)で画面の表示を行うようにした。しかし、アプ リの中にはINT16Hを発行しないものもあるため、次のイベント発生時に先 のイベントがサービスされていない時には、その中で画面の表示を行うよ うにした。実用上は、これで問題ないと思われる。  5.80386 以上の CPU と、QEMM-386 が必要である。 E.《互換性》  手元でチェックしたアプリケーションを下記します。   1. PC Tools Ver.6.0 (*)   2. TurboC++ Ver.1.0 (*)   3. Turbo Debugger Ver.2.0 (8086 mode/80286 mode) (*)   4. Microsoft-C Ver.6.0 Programmer's Work Bench (*)   5. The Norton Commander Ver.3.0 (*)   6. TreeView Ver.1.1 (*)   7. PC-Outline Ver.3.3.4 (*)   8. GrandView Ver.1.1 (*)   9. CodeView Ver.3.0 (*)  10. AS-EASY-AS Ver.4.0 (*)  11. Quarterdeck Manifest  12. Telix Ver.3.12 (*) (corrupt data at 9600BPS)  13. MS-Works Ver.2.0 (*) (hang when open new sheet)  14. THELP (Include TurboC++,TSR program)  15. Lotus 1-2-3 R.2.0  16. Mifes for IBM-PC (*)  17. Qedit Ver.2.07 (*) (%)  ※ * 漢字OK    % アプリケーションの設定に依存する F.《配布条件など》  1.コピー及び使用者についての制限はありません。ソースコードが付属して   いますので、改造/改良は自由に行って下さい。(良い結果が出ればネッ   トで公開して下さいね!!個人的には「QEMM-386を使わないで、まじめに   80386 のページ・フォルト機能を使用した物が欲しいな!!」っと思って   います。 ^^;)  2.TRの運用によって生じる直接的または間接的な損害に対しては、責任を負   いかねますのでご了承下さい。  3.このTRは「M.Satoh 氏」の作品であり、依頼を受けて私がドキュメントを   書き、ネットで公開する物です。                                  以上 MIX/knishika NIFTY/PFG00112 acs/acs05340 PC-VAN/DDE34670  西川和久